駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第1部第10試合ウェルター級8回戦/○坂本将広[森岡](判定2−0)如月紗那[六島]●

メインは西日本新人王戦の準優勝者対決。
05年度Sライト級の西日本準優勝者・坂本は6勝(2KO)1敗3分。試合の中で対戦相手の攻略法を見出してゆくという典型的な後半逆転型の選手だが、前回7/2の試合では久々のKO勝ちを果たした。
対する如月は04年度ウェルター級の西日本準優勝者。6回戦では苦労した時期もあったが、最近は漸く名目上の地位に実力が追いついて来た感があり、今年は2月と5月に連勝してA級昇格を果たしている。
1R。試合開始から暫くは、A級らしくフェイントを多用しつつの様子見モード。ラウンド後半からは、如月が強いプレッシャーを掛けつつ放つラフなワン・ツー、フック連打が決まり、小差ながらリード。坂本も基本に忠実なコンビネーションを見せるが、これは如月にガードされた。
2R。ショートレンジの打撃戦。坂本のコンビネーションは終始ガードで阻まれ、ボディ狙いもブロッキングされた。逆に如月は坂本のブロックの裏をかくフックとアッパーで有効打。更に最終盤にはワン・ツー連打が決まって坂本はダウン寸前に追い込まれる。
3R。このラウンドも打撃戦。坂本の攻勢の合間を突いて如月のストレート、フックがビシビシ決まる。坂本の手数は、やはり大半がガードの上。ラウンド終盤には如月は更に連打を追加してダメ押し。
4R。このラウンドは序盤から坂本がショートアッパーを捻じ込み、フックをガードの上でも構わず強烈に浴びせていく。如月もラウンド中盤に連打を決めるが、今度は坂本がブロックしてこれを封殺。全体的に観て坂本の手数攻勢が目立ったラウンド。
5R。坂本はショートアッパーとボディフックが機能して主導権掌握。如月も左右のフック連打で坂本をグラつかせるが、坂本はそこから再び攻勢に出て手数・ヒット数共に小差ながら優勢を築く。
6R。坂本はこのラウンドも手数豊富にショートアッパー、ボディブロー、ジャブ連打で手数・ヒット数有利。しかし如月もショートフック、右ストレートを鋭くクリーンヒットさせて効かせる場面も。互角〜微差の接戦。
7R。ラウンド序盤は如月が攻勢に出てショートフック有効打も、坂本の粘り強い手数攻めが次第に支配的となり形勢逆転。如月も再逆転狙って終盤に手数振り回すも届かず。
8R。如月がラウンド序盤、左フックを立て続けにスマッシュさせるが、中盤以降は決め手無く互いにガード上へ手数を浴びせる内容に。坂本はラウンド後半に有効打2発で追いすがるが、優劣微妙に。
公式判定は宮崎78-75、野田77-75、原田76-76の2−0で坂本。駒木の採点は「A」76-76イーブン、「B」77-76如月優勢。坂本を支持したジャッジの採点は、際どいラウンドが全部坂本に流れたようなスコア。“森岡イズム”とも称すべきド根性ファイトにジャッジも感服させられたといったところか。
ド根性ファイター・坂本が4Rから手数、手数で粘りに粘って、序盤の劣勢を挽回して小差判定勝ちを勝ち取った。地力的に言ってランカー級とは差がある印象だが、それでもA級選手としての仕事は立派に全うしている。
如月も3Rまでは着実にポイントを重ねて優勢。中盤戦以降も手数、ヒット数で絶えず肉薄していたが、相手の粘りに根負けして主導権争いに競り負けるラウンドが多くなっていった。それでも流石に負けまでは……という内容にまとめていたのだが、結果的にジャッジが味方してくれなかった形。