駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2部第9試合・Sバンタム級6回戦/○馬野晃[ハラダ](4R1分30秒TKO)内村翔也[金沢]●

両者戦績は馬野4勝(2KO)1敗、内村5勝(2KO)2敗1分。共に新人王戦敗退後の再起戦。馬野はバンタム級準決勝で微妙な判定に泣き、内村はSバンタム級の2回戦で西日本覇者の木村友紀[明石]に敗れた。
1R。ロングレンジからジャブで牽制し合う静かな立ち上がり。ヒット数はロースコアだが、アウトボクシングでは内村が一日の長。スピードと距離コントロールで主導権争いを優位に進め、ジャブ、ストレート1発当てて小差リードを確保か。
2R。馬野が圧力を増して攻勢を仕掛けるが、手数が少なくフックも狙い過ぎで大振りのため、明確なヒットはジャブ2発のみ。内村はアウトボックスとクリンチワークで(調子の悪い時の)徳山昌守風の試合運びを見せるが、こちらもヒットに恵まれず微妙な内容。
3R。馬野のラッシングと内村のアウトボクシングの凌ぎ合い。共に不発気味ながらパンチを合わせて拮抗した展開となるが、ラウンド終盤に試合が動く。馬野が右ストレート、内村がワン・ツー連打で有効打を交換した後、馬野が内村にロープを背負わせた所で左フックを浴びせて1発でノックダウン。
4R。内村は前ラウンドのダウンでダメージが残ったか守勢。カウンター気味に手数を浴びせるが、馬野のガードに封じられる。馬野はジワジワとプレッシャーを掛けてゆき、コーナーに詰めての強打狙い。ヒット、有効打を順調に重ねて最後はまたもフックでクリーンヒット。内村は倒れず踏ん張ったが既に敗色濃厚、遂にレフェリーはTKOを宣告した。
馬野がアウトボクサー相手に進境の跡が窺える快勝劇。攻防一体の試合運びで勝機を窺い、それが訪れるや強打攻めでダメージを与え、効かせておいてトドメを刺す……という理に適ったパンチ力の活かし方だった。
内村は6回戦に上がって相手強化、いよいよ中途半端な徳山昌守型ファイトでは通用しなくなって来た。アウトボクシングを追求するなら、まずはジャブを増やし、それから低いガードばかりが目立つディフェンスの強化が急務。今後の数試合が現役生活の行く末を決める正念場になるだろう。