駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第1部第3試合・Sフェザー級6回戦/●岩下幸右[Gツダ](判定0−2)佐藤通也[大阪帝拳]○

両者戦績は、岩下4勝(2KO)4敗1分、佐藤6勝(4KO)1敗2分。岩下は6月にタイ国へ遠征し、ABCO王者と対戦、6RTKOに敗れている。この経験を日本で活かす事が出来るか。佐藤は昨年度のフェザー級西日本新人王。続く西軍代表戦で引き分け敗者扱いに泣いて敗退し、今回はそれ以来ちょうど1年ぶりのリング復帰戦。
1R。中間距離でのジャブ、ストレート合戦。岩下が右ストレートを散発的に当てて先行したが、佐藤は今回から重用し始めたフリッカースタイルからストレート系のパンチを細かく当てて対抗。だがブランクか、増量の影響か、ややディフェンス勘が鈍っている感がある。
2R。佐藤はステップ、ボディワーク中心のディフェンスで岩下の攻撃を捌きつつ、右ストレートを当ててはクリンチで“打ち逃げ”する得意の戦法。主導権を奪われながらも岩下はジャブ、ストレートで応戦するが、なかなか明確なヒットを奪えない。
3R。中間距離で全く形勢互角の攻防戦。手数豊富な打ち合いながら、共に相手のワン・ツーを的から外し、容易にはヒットを許さない。主導権争いはやや佐藤ながら、岩下も強打を見せつけて攻勢をアピール。
4R。ラウンド序盤は打ち合いの中で佐藤が右フック有効打を当てるなどしてリードするが、中盤からは岩下が佐藤ペースの淡々とした流れを拒否するように猛攻に出て攻勢点をアピール。終盤には佐藤が細かい連打でヒットを奪うが、明確な優勢は築けずラウンド全体の形勢は微妙。
5R。佐藤はこのラウンド、持ち前の技巧をフル稼動。岩下の攻勢をガードとクリンチワークで無効化すると、返す刀で右ストレート、フックを有効打する。ラウンド終盤には右ショートアッパーを突き上げて優勢をガッチリ確保する。
6R。ややアグレッシブな打撃戦。インサイドワークの冴える佐藤が主導権を握り、ラウンド後半には岩下の動きを読み切って右の有効打を連発。更に試合終了直前にはロープ際に詰めて、有効打、クリーンヒットを畳み掛けて鮮やかにポイントアウト。
公式判定は野田58-56、原田58-57、宮崎57-57の2−0で佐藤。駒木の採点は「A」58-56「B」59-57で佐藤優勢。数字上は接戦になったが、内容的には「佐藤小差有利、最悪でもイーブン」という感じ。
佐藤は1年ぶりの試合、ブランクや増量の影響か動きにキレを欠いた感があったが、それでも試合が進むに連れて形勢を己の方に傾かせて、小差ながら完勝とも言える判定勝ち。
岩下も6回戦選手らしい落ち着いた試合ぶりが板に付いてきた感じ。だが持ち前のアグレッシブな攻勢を捌かれてしまっては苦しい。先手、先手で試合をリードしたかったが、相手の地力が一枚上だった。