駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2試合・Sライト級4回戦/○松村直人[明石](判定2−0)荒井俊宏[千里馬神戸]●

松村は5月のサンボーホール興行でデビュー戦に敗れて未勝利1敗、荒井は今日がデビュー戦。
1R。荒井は一見腰の重そうな印象だが、その割に軽快なステップで自分の距離をキープ。精度の高い強打で不用意に接近して来る松村を迎撃する。その松村は完全に自分のペースを見失い、ハンドスピードある攻撃も空振り1回きり。何も出来ないままラウンドを終えてしまう。
2R。ラウンド序盤、松村が一気にプレスをかけ荒井の懐に飛び込むと、その荒井のガードの甘さを咎める形で右ストレートをクリーンヒット。しかし中盤以降、荒井も再び自分の距離を奪い返してヒット数で逆転。両者パンチを放つタイミングが極めて似ており、何気ない攻防が全てカウンター合戦になるスリリングな試合展開。
3R。松村が前、前へとプレスをかけて攻勢。荒井もタイミング良く迎撃してヒット数では差が無いが、アグレッシブさが目立つ分だけジャッジ的には松村小差優勢か。荒井はややスタミナが切れてきて、ステップワークが鈍り始めている。
4R。松村が右ストレートをオープニングヒットさせて勢いに乗り、主導権を掌握。荒井の奮闘はスタミナ切れで空回りし、手数・ヒット数的には互角でも印象が悪いか。試合終了直前の打ち合いも松村が優勢でまとめ、このラウンドも松村が奪取した印象。
公式判定は宮崎39-37、原田39-37、新井38-38の2−0で松村。駒木の採点は「A」38-38イーブン「B」39-38松村優勢。
松村は試合前半、相手の距離からなかなか抜け出せず苦しんだが、徐々にアグレッシブさを前面に出すグリーンボーイらしい戦い振りで主導権を奪い、小差ながらキッチリとポイントを獲り切った。今日は力任せに攻勢点で押し切ったが、今後は持ち前のハンドスピードを活かせるような試合の仕方も研究して欲しい。
荒井は1Rこそマイペースで出色の動きを見せたが、近距離戦では攻守共に粗さ、拙さを曝け出してしまった。スタミナ不足も目立ち、素質とパワーこそ感じさせるものの現状の地力はまだ物足りない。
なお試合後、松村は体調不良を訴え、病院に搬送されたとの事。大事に至らなければ良いのだが。