駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第7試合・Sライト級8回戦/●大崎丈二[ウォズ](判定0−3)西尾彰人[姫路木下]○

大崎は9勝(5KO)1敗2分の戦績。昨年にはSライト級で全日本新人王タイトルを獲得したが、その後は不慮の事故で長期戦線離脱し、ランキングも手放した。9/24の京都興行で再起し勝利するも際どい判定となり、未だ本調子に戻り切っていない現状。
対する西尾の戦績はは8勝(6KO)3敗1分。新人王戦は2度挑戦していずれも予選敗退を喫したが、6回戦昇格後は1敗した後に4連勝中と、本格化の兆しが窺える。ここで新人王を破って日本ランキング入りを射程圏に入れたいところだが……
1R。互いにジャブ、ストレートで牽制しながら様子見のラウンド。軽いヒットを奪い合いつつ、時に攻勢をアピールするが決定的場面は無く全くの互角。敢えて差をつけるなら先手、先手で攻めていた西尾の“アグレッシブ”。
2R。大崎はやや積極的に仕掛け、伸びのあるジャブとストレートを次々とヒットさせる。西尾はボディワークに頼ったディフェンスだが、捌き損ないが被弾に直結して逆効果。西尾もジャブ中心に応戦するが、こちらは大崎のガードに阻まれて攻めの糸口が掴めない。
3R。このラウンドもワン・ツー中心の攻防。大崎は圧力をかけつつのジャブでヒット数先行。西尾も手数多く、時に攻勢点を稼ぐ圧力攻めにも打って出るが、大崎のブロックが堅く肝心のヒットが奪えない。形勢そのものは小差だが。
4R。西尾はアウトボックス気味の試合運びで好機を窺うが、大崎のガードが堅くヒット数は限定的。逆に大崎は追い足を使いつつ、ジャブ中心ながらヒットを重ねて数的優勢。
5R。西尾は手数を増やして連打で攻め立てるが、大きなチャンスが巡って来ない。これに対して大崎は速いジャブとストレートで明確なヒットを奪ってゆく。西尾も時折反撃姿勢をアピールするが、明らかな形勢逆転には至らない印象。
6R。このラウンドもこれまでと同様の展開が続くが、西尾の左カウンターが出会い頭でクリーンヒットして大崎失速。効かされた状態ではヒット数を稼げず、ここは西尾がポイントを奪い取った。
7R。西尾は勢いに乗って攻めたいが、復調気配の大崎を攻め切れない。右フックで先制するも、あとはガードを下げた所に細かくヒットを浴びせられて劣勢。アウトボクサーがロープ際で被弾するのは見栄えも悪い。
8R。西尾のアウトボクシングを大崎が追い足で潰してしまう。ジャブ、ストレートでヒットを重ね、攻勢点もアピール。西尾の反撃は最小限に食い止められ、ノックダウンの予感は無いままだが、このラウンドも大崎。
公式判定は上中、原田、野田の三者いずれも77-76で西尾を支持。駒木の採点は「A」78-74「B」79-74で大崎に中差以上の優勢を見た。中盤までの小差のラウンドについて、公式判定は西尾に、駒木は大崎にまとめて優勢点を振り分けた形。観客席にいた他ジム関係者による採点でも「西尾の小差優勢」と「大崎の完勝」とで見方は真っ二つに割れていた。
西尾はアウトボクシングで捌こうとしたが、ガードの低さを咎められてヒット数では絶えず劣勢の展開。中盤までのラウンドで見せたガード上への手数攻めなどが“アグレッシブ”の点で高く評価されたのだろうが、“クリーンヒット”で小差ながら確実なビハインドを背負っていた選手がジャッジの三者一致で支持されるという結果は到底支持出来ない。勿論、西尾に責任のある事ではないが、次はもっとスッキリした勝利を望む。
大崎は確実なブロッキングで被弾を食い止めつつ、ジャブ・ストレートでヒット数では明確なリード。追い足を使って攻勢点もアピールする、JBC西日本の審判団が好んで優勢点をつけそうな試合展開に持ち込んだが、微妙な判定に泣いた。ただ、前回の試合でもそうだったが、今の彼の試合は「優劣がジャッジの主観に委ねられるラウンド」が多過ぎるような気もする。決定力不足を克服する事が直近の課題という事になるだろうか。