駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第7試合・フェザー級8回戦/○片山博司[アポロ](6R1分48秒KO)デンチャイ・ソーティアブクーン[タイ国]●

片山は6勝(1KO)無敗1分の戦績。6回戦を2連勝でクリアしてのA級昇格だが、ここまでは対戦相手に恵まれて来た印象が拭えない。今宵も楽な相手を迎えての調整戦だが……
対するデンチャイはタイ国フェザー級2位の肩書きだが、過去3度来日して3連敗中。自称の通算成績も6勝(2KO)7敗と負け越している。
1R。片山はデンチャイの牽制気味のジャブをことごとく貰ってしまい、左フックの有効打まで被弾と暗澹たる船出。片山も左ジャブ起点にヒット返しボディに手数を集めるが、デンチャイのガードを敗れず形勢は際どい。
2R。片山がこのラウンドもデンチャイの攻撃を捌ききれず苦戦。重くは無いが右フック、アッパーなどを有効打される。片山も圧力をかけてジャブ中心に手数は振るうが、攻めの糸口が見出せない。
3R。片山が圧力かけつつも守備中心のファイトで、ジャブをコツコツと当ててのポイントアウト態勢。時に強引な攻勢を仕掛けては見るが不発。デンチャイは“噛ませモード”全開で、自分から攻めに行く姿勢を半ば放棄している。
4R。片山はこのラウンドも“噛ませモード”のデンチャイを攻めあぐんでしまう。右、左のショートフックで小さな見せ場を作るが、逆にアッパーを合わされてしまう。ラウンド終了直前、ようやくフック2発当ててジャッジ的に互角以上へ。
5R。片山はサンドバッグ状態のデンチャイに圧力かけ強打連発も、精度・パンチ力共に欠けて有効打も目立たない。デンチャイのインサイドワークに操られ、「攻めさせられている」感すら漂う。
6R。このラウンドも淡々とした展開。片山は連打攻めも1発返されては下がってしまう。それでも片山が左ボディを当てると、デンチャイは嫌倒れ気味にダウンし、カウント9で立ち上がるも当然のように止められた。
片山が地力の至らなさ、メンタル面の弱さを露呈するばかりの大凡戦。特に守備の脆さはA級では致命的なレベルで、日本人のマトモな8回戦選手と試合をすれば一たまりもないのでは、とさえ思える。こういう売り出し方でここまで名目上の地位を上げてしまった以上、既に後戻りは出来ないわけで、今後彼のボクサー人生がどうなるのか、色々な意味で興味深くなって来る。