駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第5試合・ライト級8回戦/○金井晶聡[姫路木下](3R2分19秒TKO)ソムヌク・ソーウォラピン[タイ国]●

金井は戦績17勝(16KO)3敗。02年にオールKO勝利でフェザー級日本新人王を獲得して脚光を浴び、その後は相手を選びつつもデビュー以来14連続KOの記録をマークした。しかし05年1月に榎洋之[角海老宝石]の保持していた日本王座に挑戦するもTKO負け。これ以後は勝利の女神の加護が霧消したかの如く敗戦と苦戦を重ね、WBA世界11位まで登り詰めた地位も現在はノーランク。昨年9月の吉澤佑規[ウォズ]戦に敗れた際は引退も考えたと聞くが、今回半年の沈黙を破って復帰と相成った。
対するソムヌクは今回が初来日。自称戦績は8勝(1KO)6敗1分。
1R。ソムヌクは地力を感じさせる程の動きは見せないが、自発的に強打を放つなどタイ人ノーランカーにしては比較的戦意が高い。金井の連打にも打ち合いで応じ、ガードもむしろ手堅い。金井はそんなソムヌクの攻撃、反撃をダッキングとガードで捌き、やや様子見加減ながら手数を返してゆく。ラウンド後半にはロープへ詰めての攻勢を見せ、“アグレッシブ”でポイントを確保する。
2R。金井はジャブを放ちつつ、タイミングを見計らい距離を詰めて攻勢に出るも、なかなかクリーンヒットを奪えず決め手を欠く。逆にソムヌクのカウンターを軽くだが浴びて後退する場面まで作ってしまう。ソムヌクはこのラウンドは守備重視の消極的なファイトに転じ、金井の攻撃を3分間捌ききった。
3R。金井はこのラウンド、左のフック、アッパーを起点に攻めてロープ際でヒットを連発。徐々にダメージを与えてソムヌクの動きを鈍らせると、またも左強打で有効打を奪ってソムヌクを効かせ、コーナーに詰めて猛ラッシュ。KOに繋がるパンチは無かったが、タイ人ノーランカーには反抗不能の速射砲をソムヌクが固めたガード越しに放つと、宮崎レフェリーは躊躇無くTKOを宣告した。
金井がタイ人ノーランカー相手に無難な再出発。今日の相手はタフで比較的地力の確かな選手で、金井本人も試合後のインタビューで「ひょっとしたら判定まで……」と述べていたが、左のフック、アッパーを軸にした猛攻で3RTKO勝ちを収めた。欲を言えば綺麗にノックダウンして試合を決めて欲しかったが。