駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2部第4試合・フライ級6回戦/●金城吉廣[正拳](判定1−2)利幸トーレス[大鵬]○

両者戦績は金城5勝(2KO)5敗2分、利幸トーレス5勝(1KO)4敗。
金城は昨年以来ドローを挟んで3連勝中。前回2月の試合では相手の棄権によるTKO勝利ながらB級初勝利を挙げている。一方の利幸トーレスは健文・KID・トーレスの実兄。海外で3勝を挙げた後に日本で6回戦デビューを果たしたが、ここまで国内成績2勝4敗と負け越し、ここ1年実戦から離れるなど試合枯れ気味の現状。一足先にタイトル戦線進出を果たした弟・健文に後塵を拝してばかりはいられないところだ。
1R。金城は意識的に距離を開けて様子見だが、利幸が踏み込んで鋭くジャブ、フック、ワン・ツーを放って来ると左フックで迎撃を狙う。利幸が単発気味の攻撃ながらアグレッシブに攻めてやや優勢。金城は手数が欲しい。
2R。利幸はリードジャブ代わりの左上下フック、更には右ストレート中心に手数、ヒット数でリードを広げる。金城はフックで迎撃するも単発気味。後手に回ってしまい、防戦している印象しか受けない。
3R。ショートレンジ打撃戦。上下フック中心の打ち合いとなるが、ハンドスピードと回転力で上回る利幸が手堅くリードを奪う。金城もジャブ中心にヒットを奪うが、利幸のフック攻勢の方が視覚的にインパクトが強い。
4R。利幸は懸念されていたスタミナ難が顔を覗かせ、やや失速。ストレート、フックでヒットを重ねるが、金城のワン・ツーも目立った。それでもラウンド終盤、利幸がヒット、有効打を連発し、圧力攻めで抵抗せんとする金城を突き放す。
5R。ショートレンジ打撃戦。ワン・ツー合戦からフック合戦へ移行する中で、金城が圧力をかけながらフックを叩き込んで手数、ヒット数優位。ラウンド後半になると利幸は後退戦を強いられ、最後は防戦一方に陥った。
6R。金城の攻勢に対し、利幸は何とかこれを捌きつつ手数を返すが、ラウンド中盤にはガス欠で足が止まり、パンチのキレも鈍った。しかし金城も疲れて攻め切れず、攻勢をアピールしただけに留まった。
公式判定は宮崎58-56、半田58-57(以上、トーレス優勢)、野田58-57(金城優勢)のスプリットで利幸トーレスが久々の勝利。駒木の採点は「A」「B」いずれも58-56でトーレス優勢。
両者ほぼ終始手を止めぬアグレッシブな熱戦。利幸が回転力を利して前半戦を制し、ここで得た貯金をギリギリ残して際どい判定勝ち。ボクシングのセンスや戦意の高さは出色ながら、やはり課題はスタミナ。既にA級の資格を持つが、このままでは8ラウンドを戦い抜くのは厳しそうだ。
金城は前半戦で消極的なファイトに陥ったのが後々まで響いた形。相手のスタミナ難で巡って来た勝機も、自分まで攻め疲れして決め手を欠いてしまった。判定は割れたが、前半3ラウンドをほぼ全て落としていては到底勝ち切れない。