駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第4試合・ウェルター級10回戦/○牛若丸あきべぇ[協栄](2R1分50秒KO)ジャック・マカン[インドネシア]●

“中トリ”の実質セミファイナルには、着々と“金井晶聡路線”を疾走中の牛若丸あきべぇが登場。この試合にKOをスコアすると14試合連続KO勝利となり、その金井の持つ連続KO勝利記録の日本歴代2位記録に並ぶのだが……
すっかりこのリングネームも定着した牛若丸は14勝(13KO)無敗のレコード。デビュー戦こそ判定勝利に甘んじるも、2戦目からはKOに次ぐKOを積み重ねて6試合目でウェルター級全日本新人王に輝く。その後2試合は日本ランカーとのタフな打撃戦を制してポテンシャルの高さを発揮したものの、その後は金魚・噛ませ犬的な無名の韓国人・インドネシア人との試合が続いている。そして今回も対戦相手はインドネシア人。勝敗はおろか内容や結果すら明白な調整試合だが、少しでも充実した試合内容を見せておきたいところ。
そして今宵、彼の斬られ役ならぬ殴られ役として格安航空券で訪日したインドネシア人はジャック・マカン。自称戦績14勝(5KO)2敗4分でインドネシアSライト級6位との経歴。今回が初来日である。
1R。牛若丸はワン・ツーで圧力をかけ、ロープへ詰めるとあとはボディ中心にイヤ倒れ狙いの連打攻勢。マカンも打ち終わりにヒット、有効打を奪うなど比較的戦意高く、大差劣勢の戦況ながらもこのラウンドを凌ぎ切る。
2R。このラウンドも牛若丸の圧力強打攻め。右フック、左ボディを強引に効かせ、マカンの反撃を涼しい顔で受け流しつつ更に強引な攻撃でKOを狙う。最後は超強引なアッパーとフック連打で、やはりイヤ倒れ気味のノックダウン。マカンは確信犯的な立ち遅れで10カウントコールを聞いた。
牛若丸が階級下の東南アジア人を相手にイヤ倒れ狙いの強引な試合運びでKO勝ち。しかし技術的に観るべきものは全く無く、まるで亀田興毅の大阪時代を想起させる空疎な試合内容であった。
なお後日、亀田家での武者修行期間終了が発表された。今後は協栄ジム本体で活動する事となるが、この1年で彼が覚えた最大のテクニックが「噛ませ犬の手っ取り早い仕留め方」であった事を考えると、この判断は非常に妥当と言えるのではないか。
そして注目された次戦、浜田剛史の保持する連続KO日本記録に並ぶかどうかが懸った試合の対戦相手は、紆余曲折を経て世界ランカーで日本人相手に負け無しのマサ・バキロフ[ウズベキスタン]に決定した。やはりこのアンタッチャブル・レコードは、ボクシングに関わる全ての日本人にとって“聖域”という事なのだろう。