駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第6試合・ライト級契約ウェイト(61.0kg)8回戦/△福原寛人[江見](判定1−1)西尾彰人[姫路木下]△

メイン前の試合は、昨年9月以来2度目の顔合わせとなる日本ランキング争奪戦。福原のリベンジ&ランキング奪取か、西尾の返り討ちか、西日本のマニア限定ながら興味深い一戦。
格下ながら控室の都合*1か、赤コーナーに座った福原は7勝(2KO)3敗4分の戦績。04年の新人王戦でフェザー級西軍代表となるも、その後は地方ジム所属の悲しさで不定期かつアウェイの過酷なマッチメイクを余儀なくされている。それでも昨秋は武本康樹[千里馬神戸]とドロー、今年4月には竹下寛刀[高砂]との西日本新人王対決を制するなど、ここに来て上り調子。勢いに乗って日本ランキング奪取を狙う。
対する日本Sライト級10位の西尾は10勝(6KO)3敗1分の戦績。2度の新人王戦予選敗退を経験するも、6回戦時代から能力開花。ここ1年は元全日本・西日本新人王相手に4連勝するなど大活躍し、日本ランキングにも登載された。更なる飛躍へ向けて、ここで足踏みはしていられないところだろう。
1R。ラウンド前半はジャブの牽制中心で推移。福原が1度猛然とラッシュを仕掛けたが手数を稼いだのみに終わる。後半も静かな展開が続く中、西尾がジャブ連打から攻勢を仕掛けようとするが福原のホールドに捕らえられ不発。
2R。ロングレンジでの攻防。ジャブで牽制しつつ、ストレートやボディブローを狙う。手の内を知った両者ゆえ、互いの攻め手をボディワークで巧みに躱してヒット数は両者僅少。西尾が手数小差優勢と右アッパーでヒットを奪った分だけリード。福原は大振りで仕掛けるがこれも不発。
3R。ラウンド序盤、福原はアグレッシブに出るも西尾が左カウンターで突き放す。睨み合いが多く手数少ない展開が続く。福原が出るところを西尾が上手くカウンター合わせてリードを広げるが、西尾がスリップした隙を突いて福原が突進して右有効打をお返し。形勢接近したが、西尾は再び足を使って捌き、静かな流れに戻してラウンドを終える。
4R。このラウンドも距離を取って睨み合う場面が多い。時折どちらかが仕掛けるが不発気味。ヒット数では西尾の軽打が上回るが、福原は攻勢点と右ストレート強打を1発ヒットさせる。採点が主観で割れそう。
5R。このラウンドもフェイント合戦。西尾が度々左ストレートで無言の圧力かけつつヒットを奪い、福原の突進はスウェーとクリンチで凌いで小差のリードを守る。主導権支配の観点でも西尾のスピードが機能している。
6R。福原がラウンド序盤から踏み込みつつの右ストレートでヒットを重ねる。西尾はボディワーク、インサイドワークで追撃を許さないが、反撃は福原に捌かれて苦戦。福原の突進と西尾のステップが噛み合わず、煮え切らない展開が続く。
7R。このラウンドも福原が断続的に圧力かけつつ右の強打狙い。西尾も抵抗、応戦するがクリンチに逃げられてしまう。福原はラウンド終盤、右ストレートをクリーンヒットさせて効かせた。
8R。ポイント際どい戦況を意識したか、両者ややアグレッシブになって打撃戦へ。西尾が左ストレートで先制し、カウンター合戦でも優位に立つが、福原も圧力かけつつラウンド後半に右フック、ストレートで有効打を奪い肉薄した。
公式判定は原田78-75(福原支持)、大黒77-76(西尾支持)、野田76-76の三者三様ドロー。駒木の採点は「A」76-76「B」78-77西尾優勢。圧力攻勢か迎撃による主導権確保かで見方の分かれる試合。会場観戦の選手・関係者の間では福原に3点程度優勢という声も上がっていたようだ。
因縁の再戦は、手の内を知り尽くした両者による駆け引き勝負となって、互いの持ち味を殺しあう不完全燃焼気味の内容に。“亀田待ち”の一般観客層の視線をリングに集める事は叶わなかった。福原の圧力と西尾の迎撃のどちらを優位と見るかで採点が割れそうなラウンドも多く、ドローは納得の結果と言える。

*1:前座の姫路木下勢は全員青コーナーで出場していた