駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

エキジビジョン・スパーリング3回戦/亀田和毅×ジョジョ・パルドン

ここで亀田家期待の三男・和毅が登場。OPBFフライ級王者・パルドンを相手に3分3Rのスパーリングを披露する。なお、ヘッドギア着用でグローブもスパー用の大型のものが使用された。
1R。亀田はハンドスピード鋭い、回転力もある連打でいきなり魅せるが、動きそのものは粗が多い印象。守備面もスパーリングパートナーの“気遣い”に救われている感がある。それでもグリーンボーイとして見れば手足のスピードは明らかに最上位クラスで、なるほど長兄・次兄とは一味違う垢抜けたセンスの持ち主だと思わせる3分間。
2R。亀田は早くもガス欠気味か、手数が減って圧力任せの“亀田家スタイル”に。パルドンから時折遠慮がちなショートアッパーを捻じ込まれるなど、動きの質がガクンと落ちてしまった。
3R。亀田はバテ気味。次兄直伝(?)の“亀田のあられ”を披露するが、オープンブロー気味。逆にパルドンからアッパーを突き上げられて劣勢のまま規定の時間を終えた。
厚いベールに覆われていた“亀田家の最終兵器”和毅の現時点での実力、その片鱗は窺い知る事が出来た。ポテンシャルそのものは非凡で、特に手足のスピードは一流の素材。1Rの動きを彼本来のパフォーマンスと仮定すれば、現時点でも西日本新人王又は東日本新人戦ベスト4以上の有力候補になれるレベルにはある。しかし2R以降の動きを見る限りにおいて極度のスタミナ不足は明らかで、そのポテンシャルの最大値を発揮できるのはごく短い時間に限られている。また、守備面や攻撃の正確性などにはまだまだ磨きをかけるべき余地が残されているだろう。
結局の所、現在の総合力は4回戦上位から6回戦下位クラスと見るのが妥当。ちょっと腕に覚えのある若手選手なら、フルラウンド粘り抜いて判定勝ちに持ち込むことも可能だ。アマチュア大会に出場した場合は、2人の兄たちと同じように実業団・社会人の両大会ならば優勝またはそれに準ずる成績が期待できるものの、それ以上の活躍には疑問符が付く。ましてや北京五輪出場などは夢のまた夢で、長兄の時の「デビュー7戦目での世界タイトル奪取」といい、よくもここまで見るも恥ずかしいバルーンを膨らませる事が出来たものである。ともかくも、本物のボクサーに育てたいのであれば、今は基礎体力作りに専念すべし。世界ランカー相手の公開スパーリングなど物笑いの種にしかならない。