駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

興行全体の総括

ここまで酷ければ笑うしかない、というような協栄ジム勢の試合内容と、その内容を象徴するような空疎な観客席。筆者は昨年末の世界戦を「亀田伝説の終わりの始まり」と評したが、その「終わりの終わり」の時は急速に近付いていると、図らずも肌で感じさせられる一夜となった。
それにしても目に付いたのは、観戦マナーの極めて悪い「亀田見物」にやって来た家族連れグループと、今や数十人規模に減少しつつもスタンド席に散見された“亀田ギャル”。前者は、西日本勢の熱戦繰り広げられるリング上には目もくれず携帯ゲームとデジカメのストロボ機能の調整にご執心で、後者は2階最前列前の手すり前に陣取り、すぐ後ろで座る客を無視して「トモキカッコエエー」などと大騒ぎ。結局の所、亀田ファミリーが会場に呼び寄せた「新規ファン層」とはこういう人たちの事なのだろう。また、セミファイナルの7R後のインターバルに始まった吉本お笑いタレント勢をリングサイドで立たせて行われたTBSの生放送インタビューは、最終8Rが始まった後も延々と続いていた。5万円のリングサイド席に座った人の試合を遮り、命を賭けて戦う西尾、福原両選手にアナウンサーとカメラスタッフたちの汚い尻を向けて。TBSがボクシングに対して抱いている敬意の程がよく判る光景であった。
筆者は最近「亀田ブームとは何だったのか?」と考える事がある。今のところ思い浮かぶ最も適当な答えは「悲劇」である。昔からのファンにとっても、選手・関係者にとっても、当事者の亀田3兄弟にとっても、そしてボクシングそのものにとっても。


最後になってしまったが、この日一番のトピックスは第5試合。6回戦級の技術で迫る菊地をパワーでいとも簡単に粉砕した浦の試合振りは近い将来に大きな期待を抱かせるものだった。もし来年の新人王戦にエントリーされれば、西部日本ブロックから西軍代表、全日本決勝まで楽しませてくれる事だろう。