駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第8試合・フェザー級契約ウェイト(56.2kg)6回戦/△中村公彦[大星森垣](判定1−1)山本直[守口東郷]△

両者戦績は中村5勝(2KO)3敗3分、山本4勝(3KO)5敗。中村は05年度新人王戦バンタム級西軍代表。しかし06年4月の再起戦に敗れ、昨年12月の再々起戦もドローと停滞が長期化している。山本は今年2月に4勝目を挙げてB級昇格を達成したが、4/22に初の6回戦で吉村厚志[Gつだ]に敗れて通算成績を再び負け越しにしてしまった。共に足踏み状態からの脱却を目指す正念場の一戦となる。
1R。中間距離での牽制がベースの展開だが、断続的に打撃戦が挿入される。中村が左ストレート中心に先手奪ってヒット数先行。山本も手数を返すが、ガードの甘さが先立って被弾多く形勢を挽回できない。
2R。このラウンドも両者出入りを繰り返しつつ、ショートレンジで乱打戦を断続的に。中村がここでも左ストレートでヒット数リード。山本は同じ負けパターンにハメられて劣勢。
3R。先のラウンドと同様の展開が続く。4回戦の延長上のような漫然とした展開で、もっと技巧的な攻撃やフェイントを交えた試合運びが見たい。山本がラウンド前半に右ストレートでヒット数を稼ぐが、中村が後半からジワジワと追い上げて接戦に持ち込んだ。
4R。このラウンドは山本が圧力かけて先手。右ストレート、アッパーでクリーンヒットを連発し中村を後退させる。中村も、やがて攻めが手詰まりになった山本にコツコツと左を当てて巻き返しを図るが、失点を挽回するには至らない。
5R。中間距離で互いにストレート狙いの打撃戦。このラウンドはまたも中村が先手で左ストレートのヒット連発。山本はやや攻めが雑で的を捉え切れなかった。
6R。掴み処の無い、中間距離での乱打戦。山本が左カウンターのクリーンヒットで先制するが、中村が徐々に左ストレートを当ててゆき、山本の顔面を仰け反らせるシーンも作る。
公式判定は北村58-57(中村支持)、原田58-57(山本支持)、坂本57-57の三者三様ドロー。駒木の採点は「A」58-56「B」59-56で中村優勢。軽打のヒットを重ねる中村と、ヒット数は限定的ながら強打を効かせた山本とでジャッジが割れる要素のあった試合だが……。
中村がストレートでヒット数を稼いだが、この階級まで上げて来るとパンチが軽い印象。ジャッジにもその辺が嫌気されたか、かなり辛い採点をされてしまった。再度階級を下げ、停滞気味の技術全般の向上も図らねば6回戦突破も難しいだろう。
山本は4Rに右で大いに効かせるなど見せ場を作ったが、ガード拙く戦術面も発展途上。まだグリーンボーイ臭さが抜けない試合振りだ。右の強打が魅力の選手だが、このクラスで戦い抜くにはこの右に頼らない試合運びを覚える事が必要になる。