駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第7試合・フライ級契約ウェイト(50.0kg)8回戦/●橘悟朗[エディ](判定0−3)山口淳一[森岡]○

セミファイナルは、橘悟朗の対日本人相手初となるランキング防衛戦。昇級緒戦の山口は背伸びしたチャレンジではあるが、いきなりの大チャンス。
橘は9勝(2KO)5敗1分の戦績で日本ミニマム級7位。02年にデビュー、03年には新人王戦にエントリーするも西日本2回戦敗退。その後は地道にオープン戦を重ねる“裏街道”をひた走り、04年以来1ドローを挟んで4連勝しA級に到達する。05年末からは立て続けに日本ランカー挑戦を繰り返すハード路線に切り替え、06年まで3連敗を喫したが、今年2月に岸田直哉[クラトキ]を降し、とうとうランキングを奪取した。今回は4/30にタイ人をKOして以来の試合。ランキングの階級はミニマム級だが、この階級での試合経験は無く、専らLフライ級を主戦場にしている。
山口は6勝(1KO)2敗3分。02年にデビューし、03年には橘と同じく新人王戦にチャレンジするが、奇しくも橘と同じく、この年の西軍代表となる岡田正継[Gツダ]に敗れている。05年の再挑戦でも準決勝でドロー敗者扱いに泣いた。06年の2戦を連続ドローと足踏みするが、今年4月に久々の勝利を挙げてA級昇格を果たした。今回は先述の通り、昇級緒戦、初の8回戦でいきなりのランキングチャレンジ。
1R。両者アグレッシブな乱打戦。山口がメリハリの利いた左フック、右ストレートの強打でヒット連発してインパクトあるシーンを作る。橘もボディへ連打をまとめるなど激しく抵抗した。
2R。橘は圧力かけて手数攻めするが、山口も手数返し、逆に左フック、右ストレートで印象的なヒットを奪う。だが橘は右アッパーをクリーンヒットしてストレートを追撃し、一気に逆転。
3R。大乱打戦。アグレッシブな手数合戦だが、山口が右フック、左アッパーなど印象的な強打を度々有効打してリードを奪う。橘は先のラウンドで決まった右が今度は不発。
4R。橘は猛烈な圧力手数攻めで攻勢点アピール。山口は打ち終わり狙いの右ストレートを有効打させ、左アッパーも決めた。橘の“アグレッシブ”か山口の“クリーンヒット”で微妙に見えたが、3ジャッジの判断は山口優位。
5R。激しい乱打戦が続く。ラウンド序盤は橘が細かく手数を浴びせるが、中盤から山口が強打を次々と有効打。橘も激しく抵抗し、互角近辺の形勢に持ち込むが……
6R。終わりの見えない乱打戦が続く。終盤までヤマ場らしいヤマ場に欠けるも、激しい手数合戦。橘が攻勢をアピールしたが、ラスト30秒に山口はアッパーなどの強打を見舞って巻き返す。
7R。クロスレンジ乱打戦。橘が終始追い足を使って攻勢。山口は必死にカウンターを狙ったが、ややガス欠気味か勢いに欠けて来た。橘はさすがにスタミナ抜群。
8R。両者一歩も引かぬ乱打戦。手数をまとめる橘に対し、山口はカウンター狙いで大いに抵抗。ラスト30秒、山口は左フックを有効打し、グラつかせてヤマ場を作る。
公式判定は坂本78-75、野田78-76、宮崎77-75の3−0で山口が殊勲のランキング奪取。駒木の採点は「A」77-75「B」78-77で山口優勢。いかにも採点が割れそうな内容だったが……
山口が大金星で日本ランキング奪取(後日、Lフライ級12位にランクイン)。橘の手数攻めを凌ぎつつ、要所でカウンター気味の強打を決めてジャッジにアピールした。攻勢点ではやや不利に立たされたが、ユナニマスの判定勝ちは望外といっていいかも。
橘は2Rに右で大いに効かせ、勝機を作ったものの後が続かず。メリハリの欠ける攻めに終始し、虎の子のランキングを吐き出した。攻勢点をアピールする作戦で点数稼ぎを狙ったが、相手のカウンターに阻まれた。