駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第6試合・バンタム級10回戦/○橋詰知明[井岡](判定3−0)竹本裕規[風間]●

橋詰は6勝(4KO)2敗2分の戦績。アマ時代に国体少年の部近畿予選優勝を果した直後、17歳でプロ転向。デビュー戦でいきなり6回戦ボーイ相手にドローに持ち込むなど才能の片鱗を窺わせ、06年度の新人王戦では開幕前からPFP候補筆頭の前評判を得ていた。そして本番でも実力を遺憾なく発揮して西日本制覇を成し遂げるが、西軍代表戦では、後の全日本新人王で現在も日本ランカーに名を連ねる林孝亮[緑]と僅差のスプリットデシジョンで敗れて脱落。今年4月に再起したものの、4月には敵地遠征でドロー、7月には松元雄大[Gツダ]に敗れており、8回戦昇格後は苦戦が続いている。
対する竹本は8勝(4KO)8敗1分のサウスポー。02年にグリーンツダジムからデビュー。1勝1敗1分という平凡な戦績で臨んだ03年の西日本新人王戦で、破竹の4連勝で地区タイトルを奪取。だが地区対抗戦に敗れ、6回戦でも2敗を喫するなど大きく調子を崩してしまう。05年9月に風間ジムへ移籍すると連勝して一旦は態勢を立て直すが、06年からはここまで4連敗中。前回5月での試合も本来は階級下の久田哲也[ハラダ]に及ばず、長いトンネルから抜け出せないでいる。
1R。ステップを使いつつ、ジャブ、ワン・ツー中心の攻防戦。スピードで勝る橋詰がジャブと左ボディで手数リード。ラウンド終盤には竹本もアグレッシブに攻めて左ストレート振るうが的を捉えきれない。
2R。竹本はアグレッシブに前進、左ストレート、上下へのショートフック連打で攻め立てるが、手足のスピードで勝る橋詰が左右ボディ中心に右ストレート、左アッパーなど放って数的優位に立つ。
3R。竹本はこのラウンドも前に出てワン・ツー、ボディ中心のアグレッシブな攻勢。ワン・ツー・スリーでロープに詰めるなどのシーンを作るが、橋詰はステップワークを駆使しながら度々右ストレートで有効打を奪う。
4R。竹本が圧力をかけ、ショートレンジの打撃戦へ。橋詰がアッパー連打、ワン・ツーでヒット数を稼ぐ。竹本も戦意衰えずラウンド終盤に左ストレートを有効打させるが及ばず。
5R。竹本の圧力にお構いなく、アッパー連発で橋詰が手数、ヒット数で大差優勢。だが竹本の左ストレートを浴びるたびにマウスピースを吐き出すなど体力とダメージ面の不安を露呈してしまう。早くもタフマッチの様相。
6R。竹本が開始ゴングと同時に猛ラッシュを敢行しヒット連発するが、すぐさま橋詰も連打返して形勢逆転。その後はショート〜クロスレンジの攻防になるが、消耗戦の中でジワジワと橋詰の優勢が色濃くなってゆく。
7R。竹本の直進に対し、橋詰がアッパー中心のショート連打で迎撃。その後も橋詰のステップワークが竹本の攻勢を空転させるが、それでもラウンド終盤には猛烈な打ち合いで競り勝つシーンも。
8R。完全に消耗戦。体を預け合いながら強打を交換する展開となる。ラウンド序盤こそ竹本が有効打連発するが、地力で勝る橋詰が徐々に数で逆転していった。
9R。竹本の必死の連打も、橋詰はこれをスピードでいなして左フック数発しか機能させない。橋詰は断続的にラッシュを浴びせて手数、ヒット数で大差。
10R。クロスレンジ乱打戦。ラウンド前半は竹本必死の粘りが光るが、後半突入と共に橋詰が猛反撃に出て形勢は互角まで揺り戻される。終了間際には更に橋詰の攻勢が目立つ内容。
公式判定は原田99-92、宮崎98-92、野田98-93の3−0で橋詰。駒木の採点は「A」99-91「B」100-92橋詰優勢。
橋詰が相手ペースの消耗戦に巻き込まれるも、打ち勝って大差判定勝ち。スピードの差、パンチの精度の差で各ラウンド優位に立ったが、度々マウスピースを吐き出すなど、体力面の不安は依然として払拭されず。現状、ランカー級相手との勝算は五分程度か。
竹本は自分の持ち味を出して粘りに粘り、ヒット・有効打も多く奪ったが、スピードの差が大きく立ちはだかった。また、各ラウンドの後半でスタミナ切れから形勢を損なう場面が目立ち、こちらも体力面の不安が解消されていない。