駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第5試合・バンタム級5回戦/○吉村祐紀[関](判定3−0)名越光紀[新日本大阪]●

両者戦績は吉村4勝(1KO)1敗3分、名越6勝(1KO)3敗3分。
1R。吉村は中間〜ロングレンジから小気味良く回転利かせ連打攻勢。クリンチワークも利かせて主導権争いでも優位。名越は圧力をかけてアグレッシブをアピールするが、動かれて手数少ない。
2R。吉村は手足絶えず動かし、先手で手数リード。名越はガード固めて被弾避けつつ、ボディ中心に強打放つが連打が出ない。圧力がどこまで評価されたか?
3R。吉村は3〜4連打をまとめて放つヒット&アウェイ戦法で手数と主導権をアピール。名越はボディ攻めも明確なヒットに欠けて後手に回り、吉村ペースに引き摺られて圧力も弱まってしまった。
4R。名越は圧力強めて左2発ヒットさせて先制するが、吉村はこのラウンドも一枚上手の技術で応戦し、着実にビハインドを解消させて、終盤には左カウンターでクリーンヒットを2発重ね、グラつかせて形勢逆転した。
5R。追い詰められた名越は更に圧力を強め、やや失速気味の吉村に対して攻勢を仕掛ける。しかし吉村はコンパクトな連打で手数を稼ぎ、左アッパーで有効打も奪ってみせる。最後まで吉村ペースの試合展開が続いた。
公式判定は福本50-46、姫野50-47、桑田49-46の3−0で吉村。駒木の採点は「A」49-46「B」50-47で吉村優勢。
吉村は連打とダッキング、諸々のインサイドワークを駆使するテクニカルな試合運び。主導権確保とジャッジへのアピールが上手い選手。引分が多い戦績も負け試合をドローまで持ち込んだ証なのだろう。6回戦でも十分通用する地力の持ち主。
名越は圧力をかけきれず、相手のボディワークの前に回転力も活かせず。攻めの糸口を見つける事が出来ないまま5R15分を空費した。1勝3敗3分の立場から西日本を制覇し、中日本王者も倒して来た彼の冒険はひとまずこれで終わる事になるが、弛まぬ努力と鍛錬を地力向上に結びつけ、運ではなく実力で勝ち取った西日本新人王の称号は誇って良いはずだ。今後は上のステージで、互角かそれ以上の選手との試合が続く事になる。前途は厳しいが、この半年間に経験した事、味わった栄光と挫折を絶えず反芻しつつ頑張って欲しいと思う。