駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第6試合・フライ級8回戦/○金光佑治[六島](7R1分40秒TKO)利幸トーレス[大鵬]●

日本ミニマム級8位の金光は9勝(5KO)1敗の戦績。03年デビュー。2連続KO勝利を挙げて翌04年の新人王戦にエントリーすると、3KOを含む破竹の4連勝を果たす。続く西日本決勝では奈須勇樹[Gツダ→角海老宝石]に敗れ、約1年のブランクを経験するが、そこから再び3連勝。今年7月には日本ランカーの松本博志[角海老宝石]を苦闘の負傷判定の末に破ってランキングを奪取した。主戦場のフライ級とは2階級下のカテゴリながら、以来ランク中位をキープしている。
対する利幸トーレスは7勝(1KO)4敗。母国メキシコでデビューし3勝(1KO)無敗の成績をひっさげて04年に日本でB級デビュー。しかし来日緒戦を黒星とし、その後も06年までで全て6回戦の試合で2勝4敗と大ブレーキ。敗れた相手には後の日本ランカーも含まれているものの、停滞を強いられる。4敗目の後は丸1年のブランク、今年4月の金城吉廣[正拳]戦で漸く2−1判定ながら白星、7月のダイレクトリマッチでも返り討ちにして来日後の成績を漸く五分とした。戦線離脱に至って長い実弟の健文・KID・トーレスに代わってトーレス家代表として今回は初の8回戦に臨む。


1R。金光は相変わらず運動量の多い、それでいて堅実な攻守で手数は小差リード。トーレスは左アッパー、右フック中心の迎撃と体格優位を活かした試合運びで主導権を窺う。互角。
2R。トーレスは自分の距離からワン・ツー、アッパーなどを小気味良く連打して先制。金光は頭をよく振って守備を意識しつつ、ワン・ツー中心に攻めてラウンド終盤に激しく追い上げた。
3R。トーレスがラウンド序盤に自分の距離から左を連発してリードを奪うが、中盤以降は金光が圧力をかけてショート連打をまとめていって効かせる場面も。
4R。このラウンドも金光が圧力かけるところ、トーレスは後退しつつも左で迎撃。だが金光はそこから更に踏み込んで連打を見舞ってダメージを与えてゆく。パンチとヒットの数では互角だが攻めの姿勢を貫いた金光が“アグレッシブ”要素で僅かながら上回る。
5R。足を止めてのクロスンレンジ打撃戦。トーレスも手数豊富に戦うが、金光のショートが的確にトーレスの顔面を打ち抜いてダメージ量で大差。トーレスナチュラルパワーの優位を上手く活かせない。
6R。ラウンド序盤、トーレスがまたも距離を開けて左で攻める。スタミナ切れでガードが下がり動きも鈍ってしまうが、このラウンドは金光も自分のペースを見失ったままでやや劣勢。
7R。中間距離の打撃戦。手数は両者互角だが、金光は連打出せる距離ではなく、トーレスの左、それに時折混じる右強打の方が見栄えする。
8R。トーレスは温存していた最後の体力を吐き出してアウトボクシングでポイントアウト狙い。しかし金光が起死回生の連打攻勢に出るとトーレスは体力切れにダメージが重なって消耗激しくなり、宮崎レフェリーがストップをかけてTKO。
金光は体格とパワーで見劣りする相手関係の中で苦戦を強いられたが、精度あるショート連打で中盤戦にダメージを与えて優勢に。ポイント争いでは明確に上回れない展開であったが、最後はTKOを強奪した形。ランキング初防衛に成功し、第一関門突破。この内容に満足せず更なる飛躍を期待したい。
トーレスは距離コントロールと左で健闘したが、相手のすばしっこいボディワークに苦しめられてダメージブローに恵まれず。だが敗れたとは言え、A級8回戦でも戦える目処は立った。