駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第3試合・Sバンタム級6回戦/○上谷雄太[井岡](判定3−0)寄川航[進光]●

両者戦績は上谷4勝(2KO)無敗、寄川3勝(1KO)無敗2分。高校タイトルホルダーの上谷は、4回戦を3連勝の後、前回7月に6回戦でタイ人にKO勝ち。寄川は昨年の西日本新人王戦Sバンタム級ベスト4。負傷判定ドロー敗者扱いで敗退して以来の再起戦。
1R。ショートレンジ中心の打撃戦。寄川が、ガード下がりがちな上谷に右ストレートなどを当ててゆくが、上谷のスピードと迫力溢れるムーヴの方が印象的。手数と主導権支配で上谷がジャッジの支持を集めそう。
2R。上谷は序盤からジャブを当てて主導権を支配すると、ワン・ツーで手数を稼ぎ、足も使って寄川を後手に回す。左アッパー→右ストレートのクリーンヒットなど鮮やかなコンビネーションでこのラウンドは大差。
3R。寄川が中盤までリング中央を占めて試合を主導するも、上谷はハメド風の上体を柔らかく使うボディワークで被弾を避け、早いジャブやワン・ツーで攻勢に出て小差ながらヒット数でリード。
4R。寄川が先手で攻勢、これを捌きつつ上谷が鋭い反撃を見せるが、寄川の連打が的の内側に集まって来た。上谷も右アッパー中心に反撃するが、寄川はボディ狙いでなおも粘る。
5R。寄川のコンパクトな攻撃が機能し始める。上谷は足を使いつつ抵抗図るが、外側を回っては精度の低い手数を繰り出す4回戦時代の悪癖が顔を覗かせる。スピードを活かした動きでジャッジの支持は集めたが、このラウンドの内容は不満が残る。
6R。上谷は再びリズムを取り戻して左ジャブをビシビシと当て始める。主導権と距離を奪って万全の態勢。更に中間距離から右強打を連続ヒットさせて勝負あり。寄川は自分の距離を手放してどうにもならなくなった。
公式判定は野田60-54、北村60-55、原田59-55の3−0で上谷。駒木の採点は「A」58-56「B」59-58上谷優勢。公式採点では、スピード感溢れる見栄えの良い上谷に、小差のラウンド全てが流れている印象。
上谷が洗練された見栄えする動きでジャッジの支持を集めて大差判定勝ち。ただし途中でリズムを狂わせて主導権を手放す場面もあり、課題を残したままのA級昇格となった。燃費の悪い才能の使い方が惜しくてならない。上を目指すべきホープだからこそ、叱咤激励の前者の割合を増やしたくなる。
寄川もコンパクトに手数を固めて中盤戦では健闘したが、相対的に迫力不足。やや可哀想な判定結果とも思えるが、6回戦は一筋縄ではいかないという事。初めての敗北の悔しさを糧に、まずはB級初勝利を目指して欲しい。