駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第4試合・Sバンタム級6回戦/○上谷雄太[井岡](判定3−0)内山淳[倉敷守安]●

両者戦績は上谷5勝(2KO)無敗、内山8勝(4KO)5敗1分。上谷は今年1月にB級2勝目を挙げてA級の資格を獲得済み。既にA級でのキャリア豊富な内山は、昨年10月に敗れながらも日本ランカー・山口賢一[大阪帝拳]に善戦健闘した。
1R。上谷は先手でスピードあるステップを使って内山の直線的な圧力攻勢を封じる作戦。これがハマって手数で優位に立ち、主導権も支配。それでも内山は粘り強く応戦して左をヒットするが、上谷の上手く上下に散らした攻撃の方が見栄え。
2R。内山は更にアグレッシブさを増して打撃戦へ持ち込むが、上谷も左アッパーやボディフック中心に互角以上の応戦。内山の圧力をいなす上谷の手足のスピードが勝っている。
3R。上谷の左が冴える。アッパー、ジャブ連打、フック連打、これに右も交えて手数で大差優勢。内山も愚直に攻めるがメリハリに欠ける印象。ラウンド後半に入って漸くフック、アッパーを当てて行ったが、上谷がすぐさま反撃に出て形勢は揺るがない。
4R。やや動きの落ちた内山に対し、上谷は現時点の実力を試すかのようなアウトボクシングと守備中心の立ち回り。かと思えば右ストレートをボディに打ち込み完全にマイペース。内山も手を出し続けるが、どうにも数的劣勢。
5R。このラウンドも上谷がスピードを前面に出した攻守で優勢。内山も渋太く圧力をかけて左を当てるが、決定打を奪えず手数で負ける。上谷は打撃戦でも終始リードして大差リード。
6R。上谷は未だにスタミナ十分、運動量豊富なアウトボクシングから右ストレートをクリーンヒット。内山も逆襲に転じるが、的を捉え切れずに空転。ハンドスピードで見劣りし、打ち合いでも厳しい。上谷の良い所ばかりが目立つ内容。
公式判定は坂本60-55、西山60-56、原田59-56の3−0で上谷。駒木の採点は「A」「B」いずれも60-54で上谷優勢。
上谷が漸く持ち前の能力を活かし切る試合を覚えてノーランカー上位クラスのファイター相手に完勝。アウトボクシング気味にハンドスピードを活かした連打で手数を稼ぎ、同じく俊敏さを活かしたディフェンスで相手の攻勢を捌き切った。これなら8回戦以上でも通用しそう。
内山は相性的に最悪の相手との試合になってしまったか。アグレッシブさが空転し続けて完敗。