駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第8試合・Sバンタム級契約ウェイト8回戦/△中村公彦[大星森垣](判定1−1)竹本裕規[風間]△

中村は5勝(2KO)3敗4分の戦績でサウスポー。03年デビュー、04年までで3戦と当初は積極的な活動ではなかったが、05年の新人王戦にエントリーするや、西軍代表戦までの5戦を一気に勝ち抜いて全日本決勝に進出する(富山浩之介[船橋ドラゴン]に判定負け)。しかし06年に再起戦で敗れ躓いてからは2つのドローでA級昇格の規定をクリアするも若干停滞気味。今回は昨年6月以来10ヶ月ぶりの試合で、初めての8回戦。
竹本は8勝(4KO)9敗1分で、こちらもサウスポー。02年にグリーンツダジムからデビュー。1勝1敗1分という平凡な戦績で臨んだ03年の西日本新人王戦で、破竹の4連勝で西日本新人王に。だが地区対抗戦に敗れ、6回戦でも2敗を喫するなど大きく調子を崩してしまう。05年9月に風間ジムへ移籍すると連勝して一旦は態勢を立て直すが、06年以来5連敗中と近況冴えない。昨年は5月に下の階級の選手に競り負け、前回10月には橋詰知明[井岡]に大差の判定負けを喫した。
1R。ラウンド前半は様子見中心の立ち上がりだったが、竹本の威勢の良い攻撃がハマって左ストレートで中村ダウン。その後は一転して乱打戦となり、中村も奮起して決定打こそ無いが互角の打ち合いに。
2R。乱打戦。共に力任せの強打を打ち合う。竹本がスピードの差で攻守共にリードするが、中村も最後まで圧力をかけて抵抗した。
3R。中村は圧力かけつつ強打攻勢も、竹本のダッキングに捌かれてヒット数でも劣勢。見方によって採点が割れそうなラウンドだが、攻守の完成度では竹本が勝る印象。
4R。ダメージの蓄積にスタミナ切れが相まって竹本は徐々にスピードダウン。中村の攻勢を持て余すようになって来た。それでも竹本はヒットを奪い意地見せるが、ラウンド終盤に中村の左ストレートがクリーンヒット。攻勢点で勝る中村がこの一発で採点要素で互角に。
5R。竹本は完全に失速。腕上げるのも辛いか、ガードを下げた上体で大振りを放つが的外れ。中村は終始圧力かけて手数攻勢。ヒット数でもリードした。
6R。竹本は体力が残っている序盤に攻勢に出てリードを稼ぎ、残りの時間を粘りこむ作戦。中村は左ストレートなどでヒット連発も、竹本は最初に作った自分のペースを維持して中村の思うような展開に持ち込ませない。中村は手数を浴びて反撃し難そうな時間が長くなった。
7R。竹本は動けないなりに自分の距離を意識した足の動き。距離を支配する者の特権で先に攻めて主導権ダッシュ。中村もストレートやフックでヒットを奪うが、守備力不足祟って被弾も目立ち、優位を確立できない。一進一退で互角の形勢だが、竹本が手数で上回ったのがどう出るか。
8R。ショートレンジの乱打戦。中村が右ジャブをカウンターで決め、連打も打ち込んでリード。ラウンド公判にも追撃してリードを広げた。竹本はとうとう足が止まってしまい、手数攻めだけでは対処し切れず。
公式判定は北村77-76(中村支持)、野田77-75(竹本支持)、原田76-76の三者三様ドロー。駒木の採点は「A」76-75「B」78-77で竹本優勢。
強打中心の打撃戦は三者三様ドロー。中村はスロースタートと守備難で失点重ね、攻勢点を帳消しにしてしまった。8回戦ではこれからも苦しみそう。
竹本は試合後のマイクアピールで「2Rに肋骨を痛めた」と告白。なるほど、今日はいつになく失速が早かった。それでも試合序盤にリードを奪い、体力切れになってからも最小限の動きで距離を支配し、相手ペースを許さなかった辺りにベテランの味が出て来た。このキャリアを活かしたインサイドワークをもっと効果的に使えれば……