駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

興行の概要及び雑感

06年に設立された明石のホワイトフォックスジムが、プロ加盟2周年を前に初の興行開催に漕ぎ着けた。会場の明石産業交流センターは、JR大久保駅から程近くにある小会場。神戸サンボーホールと同規模のキャパシティながら、かつて佐竹政一[明石・引退]や、若手時代の長谷川穂積[真正]が試合をした“隠れ名所”でもある。
ゲストとして同ジム会長と親交の深いウィラポン・ナコンルアンプロモーションを招聘するなど、人脈の豊かさはアピールしたものの、悲しいかな開設間も無いホワイトフォックスジムにはB級以上の選手が不在。よって、メインとセミは他ジムからの応援を仰いだ上に、前座も試合の大半が新人王予選という構成に。こればかりは地道な活動の中で看板選手を輩出してゆくしかあるまい。
ホワイトフォックス勢の出場は3名のみにも関わらず、全11試合計52RとJBCルールのラウンド数制限(50R)を僅かにオーバー。パンフレットには「罰金覚悟」と誇らしげ(?)に記載されていたが、4回戦主体の興行という事を考えると、逆にもう少し試合数を厳選しても良かったと思う。ただ、間にウィラポンの挨拶、熟山竜一[JM加古川→現ホワイトフォックスジム副会長]の引退セレモニー、セミ前の休憩と、観客の集中力を切らさない配慮は有り難かった。都合3回の中断・小休止があったわけだが、実際の所、これぐらいのペースでインターバルを挟むのが本来のベストなのかも知れない(もっとも、昼夜興行の夜の部で長々と休憩を挟まれても困るだけだが)。
興行の運営面では、当日になって開場・試合開始が30分も遅れる失態。しかもチケットの販売開始まで遅れたために、開場前のロビーは人で溢れ、当日券を求める人の列は20分間途切れなかった。会場内でも、売れ残った指定席の椅子が限界ギリギリまで詰め込んだ立見客をギュウギュウ圧迫し、観客の多数が長時間ストレス状態に置かれる過酷な状態に。結果論を言えば、椅子席の後方2列は取っ払うか自由席で良かったし、リングサイド席も1〜2列減らしてB指定席に回して良かった。今回は初めて尽くしで仕方ない面もあろうが、これを教訓にして、次回興行の際には観客がより快適に過ごせるようにしてもらいたい。


さて、試合の方に目を向けると、メインの主役は36歳にして日本ランク上位をキープし続ける川端賢樹[姫路木下]。16歳年下で、3月に元ランカー・森島裕介[岐阜ヨコゼキ]に敵地で勝利して勢いに乗る橋口竣[正拳]の挑戦を受ける。悲願の2階級制覇へ向けて、結果も内容も問われる試合が続く。
セミの6回戦ではマニア注目の若手ホープ対決・脇本雅行[高砂]×真木大作[JM加古川]。どちらも新人王戦敗退後が冴えないだけに、ここを突破口として再浮上を図りたいはず。
新人王予選では、今期西日本勢の総大将格・高梨竜平[高砂]が遂に登場する。アマチュア実績抜群で、プロでの試合内容も一戦ごとに充実一途。ここを完璧な勝ち方でクリアするようならば後楽園ホールのリングがクッキリと視界に入って来るはずだ。


※駒木の手元の採点は「A」(10-9マスト)「B」(微差のRは10-10を積極的に採用)を併記します。「B」採点はラウンドマスト法の誤差を測るための試験的なものですので参考記録程度の認識でお願いします。公式ジャッジの基準は「A」と「B」の中間程度だとお考え下さい。