駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2部第7試合・フライ級8回戦/●橋本泰治[尼崎](判定0−3)山田卓哉[真正]○

橋本は7勝(1KO)3敗3分。03年末にデビュー。キャリア当初はドローが多く、勝ち味の遅さに泣かされていたが、06年の新人王戦では翌年のLフライ級西軍代表となる中澤翔[大鵬]を下して西日本決勝まで進出。6回戦も連勝でクリアするなど成長の跡を見せた。8回戦では山本剛嗣[守口東郷・引退]、宮崎亮[井岡]に07年4月、10月と連敗しているが、いずれも接戦に持ち込んでおり、A級初勝利が待たれる。
山田は6勝(1KO)2敗3分。04年にエディタウンゼントジムからデビュー。この年を2連勝して臨んだ05年度の新人王戦では、同年の西日本覇者となる山脇正輝[大阪帝拳]の前に敗退。この年は再起に2度失敗するなど不振が目立ったが、翌06年に4連勝。ジム移籍などの混乱の中で1年2ヶ月のブランクを作るが、07年末に移籍&再起して以来、6回戦で連勝。既にA級の資格を得ていたが、ここで満を持しての8回戦初登場となる。
1R。ショートレンジ中心の打撃戦。共にジャブで牽制しながらチャンスを窺うが、山田の右ストレートが先手で当たってリードか。橋本も手数出ているが見せ場に乏しい。
2R。このラウンドも打撃戦。山田が要所で右中心に明確なヒット奪い、ボディブローも決める。橋本も右をヒットさせるなど懸命に食い下がる。
3R。打撃・乱打戦が続く。両者アグレッシブだが、ナックルを正確に当てる山田の方が見栄え。橋本はストレート系のパンチで突き放したいが、目立つのはオープンブロー気味のフックばかり。
4R。橋本は左右ボディ基本に手数出し、右アッパーを鋭く決めるが、山田はストレート系を鋭く打ち込み、カウンターを効かせてラッシュ見舞うシーンも。
5R。このラウンドも同様に打撃戦。橋本の強振も目立つが、山田の足使いつつのストレート攻勢も映える。橋本のパワーか、山田のテクニックかで微妙なラウンド。
6R。打撃・乱打戦が続く。山田は体力切れか、動きに切れが無くなって来た。橋本はこれを突いてパワーで圧し気味に試合を運ぶ。だが終了ゴング前、山田もヒット重ねて猛追。
7R。山田の右中心の攻撃・反撃が目に付く展開。橋本も手数と攻勢点では遜色無いものの、一本調子でメリハリに欠ける印象。小差のラウンドが続くが、橋本がポイントを獲り切れない。
8R。ショートレンジ打撃戦。ラウンド中盤辺りから山田の右が先に当たり始め、要所で右→左の連打も。橋本も右を返すが断続的で、いわゆる「流れるような攻め」にならないままだった。
公式判定は野田79-74、坂本79-75、宮崎78-75の3−0で山田。駒木の採点は「A」78-74「B」80-75で山田優勢。
フルラウンドにわたって打撃戦が続く激しい内容。右ストレートの鋭さが見栄えした山田がポイントを獲り切って判定勝ち。体力切れの影響も最低限に抑え、初めての8回戦を無難にクリアした。
橋本はパワーでは優位に立ったが、ボディ連打がオープンブロー気味で、これがストレート系中心に攻めて来る相手との比較で不利な印象が否めず。ストレート系パンチや、今日も所々で威力を発揮したアッパーの比率も増やして多彩な攻めでジャッジに印象を与える配慮が欲しい。8回戦で通用するかどうかのカギは体力でも技術でもなく、その見せ方にあるようだ。