駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2部第6試合・フェザー級6回戦/○村澤光[尼崎](判定3−0)井川拓也[黒潮]●

両者戦績は村澤7勝(2KO)1敗、井川5勝(1KO)2敗。村澤は昨年末の全日本決勝で敗れて以来の再起戦。井川は昨年8月、11月と連勝して久々の大阪上陸。
1R。激しい打撃・乱打戦。村澤が左ストレート、右フック中心に連打を豊富に交えた攻撃でイニシアティブを奪取。井川もアグレッシブに打ち合いへ出るが、後手に回った分、得意の猛烈な手数攻勢には持ち込めず数的劣勢。
2R。このラウンドも打撃戦。村澤は打ち合いの中で、被弾した分を割増で返済させる豪快な反撃でリード。井川は打ち合いを好む傾向を利用されて、いつの間にか村澤の土俵に。
3R。乱打戦に突入。共に上下へ散らしたセンス豊かな連打を打ち込むが、パンチ力で僅かに勝る村澤がジリジリとダメージ量で優位に立ち、井川が先に消耗。懸命に食い下がる井川だが、互角から微差劣勢のラウンド。
4R。乱打戦模様。無駄の小さく精度の高い打ち合いでハイスコアの争いとなる。そんな中、村澤がかつてより多彩さを増したコンビネーションで小差ながらリード。井川も時折連打を決めるが威力が落ち始めた。
5R。乱打戦。村澤は圧力かけつつコーナーへ詰め寄るが、井川はここで踏ん張ってカウンターで形勢挽回に成功。ダメージ量では村澤がリードするが、視聴覚的に映えるのは井川。
6R。ショート〜クロスレンジ乱打戦。相打ちのタイミングで派手にヒットを交換するが、威力で勝る村澤のフック連打が井川の意識を一瞬飛ばす。井川も消耗しながら最後まで意地を見せたが及ばない。
公式判定は西山60-54、宮崎60-55、北村60-55の3−0で村澤。駒木の採点は「A」59-55「B」60-56で村澤優勢。
アグレッシブな両者による6回戦レベルを超越した乱打戦はダメージ量とスタミナで勝る村澤に軍配。各ラウンドで小さなリードを積み重ねて、採点上はフルマークの完勝となった。この半年間でストレート系パンチとフックとの繋ぎやブロッキング、パーリングなどのディフェンスワークが自然になり、かつての危うさは影を潜めている。これならA級でもノーランカー相手なら十分通用するだろう。当面の課題は、ステップワークやスウェー・ダッキングなどの足・上半身のスピード強化。言うに易し行うに難しの最たるものだが、デビュー間も無い頃、才能だけで戦っていた頃の動きを見る限り、それを期待出来るだけのポテンシャルはあるはずだ。
井川は一気の相手強化で面食らったか、それともサウスポーとの実戦で戸惑ったか、得意のパターンに持ち込めず、先にダメージを蓄積して失速してしまった。こちらも6回戦は悠々クリア出来る地力の持ち主で、今後に期待したい素材。スパーリングの相手にも事欠く環境の中で腕を磨くのは容易ではないが、四国地区のホープとして注目しておきたい。