駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第1部第4試合・Sフェザー級4回戦/○昔川真也[大星](判定3−0)寺西和哉[陽光アダチ]●

昔川はデビュー戦、寺西は未勝利2敗。
1R。寺西は距離を詰め、大振りフックで攻勢点と手数を稼ぐが、オープンブローと距離を意識しない乱暴な強振でヒットを奪うどころか早々に減点1のペナルティ。昔川は膠着に持ち込まれて苦しみながらもショート単発で反撃した。
2R。寺西はこのラウンドも強引過ぎるほどのラッシング。昔川はこの圧力を振りほどくだけの技術も経験も無く、苦しい態勢からショートアッパーを返すのが精一杯。
3R。寺西が密着しては乱暴な手数稼ぎに徹する展開が延々と続く。昔川はこの局面を打開する策無く、ズルズルと相手ペースに巻き込まれてしまう。無理な体勢からアッパーやフックを返すが、これも決め手にならない。
4R。このラウンドも寺西は強引な試合運び。だが昔川は寺西のパンチを打つ間にヒットを重ね、このラウンドは何とか優勢か。寺西は相変わらずオープンブローばかりで手数が明確なヒットに繋がらない。
公式判定は北村40-36、大黒39-36、西山39-36の3−0で昔川。しかしこれは寺西の余りにも強引なクリンチからの手数攻勢を「乱暴な突進」と見做して無効化したもの。筆者採点は寺西の攻勢を“アグレッシブ”要素の優勢として扱い「A」38-37寺西優勢「B」38-38イーブン。但し、公式判定の判断は全面的に同意したい。密着攻撃の結果のクリンチではなく、クリンチ前提の密着攻撃では反則行為と変わらない。
昔川は相手の強引な密着作戦に手を焼いたが、4Rにはヒット数で優位に立つなどして挽回。審判のサポートも受けてデビュー戦勝利を飾った。今日は全く練習の成果を出すどころではなかったろうが、良い経験になったはず。
寺西は手数と攻勢点では有利だったはずだが、ホールディングしてはオープンブローという反則まがいの試合運びはジャッジに蛇蝎の如く嫌われた。身体能力とファイトスタイルを考慮すれば一番勝ちに繋がる戦術だったのは確かだが、技術不足を棚に上げて安易に勝ち急ぎすぎたか。こういう試合でしか勝ちにいけないのなら、そもそも試合に出る事そのものが相手と観客に失礼だ。