駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第1部第6試合・フライ級契約ウェイト(50.0kg)8回戦/○中澤翔[大鵬](判定2−1)森栄良平[尼崎亀谷]●

中澤は8勝(1KO)3敗2分のサウスポー。04年デビュー、キャリア序盤は勝ち負けを繰り返す平凡な戦績で、06年の新人王戦もフライ級で初戦敗退に終わる。しかし1階級落として07年の新人王戦で才能開花。5連勝で西軍代表の座を射止めた。だが全日本決勝では判定負け、08年4月の再起戦もドローに終わり、再浮上のチャンスを窺っている。
対する森栄は8勝(2KO)4敗2分の戦績。01年12月にデビューするも、いきなり1年のブランクがあり、本格的な活動開始は03年。新人王トーナメントでは03年度こそ緒戦敗退に終わるが、04年では西日本決勝まで進出。堀川謙一[SFマキ]に敗れるも、この快進撃でB級昇格を果たした。05〜06年は途中でA級の資格を得ながらも6回戦で活動。交互に勝ち負けを繰り返す安定しない戦績に甘んじ、06年10月の試合を最後に2度目の長期ブランクへ。07年12月漸く再起し、金城吉廣[正拳]に判定勝ちを挙げた。
1R。森栄の愚直なアタックを中澤がアウトボクシングで封殺する流れ。ステップワークにクリンチと駆使しつつ、左ストレートを有効打する中澤が小差リード。
2R。同様の展開。中澤が左ストレート、右ボディを決めれば、森栄も右ストレート有効打。中澤のステップ&ボディワークが冴えて主導権を譲らぬが、森栄の攻勢も目立つ。
3R。森栄の直線的な圧力が衰えず、中澤は守勢。クリンチに逃げ、右を食う場面が目立ち始める。それでも捌きながらの的確な左で試合をメイクし、互角の内容にまとめる。
4R。中澤は右アッパー、左ボディの迎撃で鮮やかなヒット。森栄は必死に取り付いて密着しつつの連打で手数稼ぎ。ラウンド終盤にはヒットを返して形勢を混沌とする。
5R。同様の展開だが、森栄の圧力を中澤が持て余し始める。アグレッシブに攻める森栄はラウンド前半からヒットを重ねてジワジワとリードを広げた。中澤もラウンド終盤にはフック、アッパーで反撃するが、このラウンドは足りないか。
6R。中澤は再び距離を意識してアウトボクシング。ラウンド前半は巧みに捌いたが、後半には森栄も攻勢を取り戻してゆく。中澤はクリンチワークで被弾を最小限にとどめたが、自身の戦果も乏しく、ロースコアで互角の展開。
7R。中澤は下がりつつの迎撃がタイミング良く決まり、手数で大差リード。森栄はクリンチで絡め取られて手数が出せない。攻勢アピールするも、数字の裏付けに乏しいアグレッシブさは採点でどうか?
8R。森栄が右で先制。クリンチ多く膠着戦の中、互いにストレートのヒットを交換。中澤は手数が減って苦しい流れ。両者決め手無く、ここもロースコアの展開。
公式判定は村瀬78-75、野田77-76(以上、中澤支持)、堺谷77-76(森栄支持)のスプリットで中澤の勝ち。駒木の採点は「A」77-75「B」78-77で中澤優勢。
決手乏しいボクサーとファイターの対戦。一進一退の攻防の中、手数とインサイドワークで勝る中澤が僅かに競り勝った形。森栄は相手のインサイドワークにハマって手数出し辛い展開に持ち込まれてしまった。