駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第1部第7試合・ライト級8回戦/○川波武士[大鵬](判定3−0)金丸清隆[正拳]●

昨年12/9の再戦。前回は当時日本ランカーだった川波が、大苦戦の末に金丸を僅差抑えている。
川波は11勝(6KO)3敗1分の戦績。02年にデビュー、連続KO勝利を挙げて03年の新人王戦に挑戦、緒戦を突破するも棄権でリタイヤ。翌04年の再挑戦は初戦でプロ初黒星と挫折を味わう。1年2ヶ月のブランクを経て05年に復帰し、以来4連勝でA級昇格。A級では2戦目に敗れるが、その後は06年12月から4連勝。07年8月の香川遠征では、日本ランカー・藤田和典[倉敷守安]に勝利して日本ランクも獲得した。しかし直後から調子を崩し、08年4月森下裕己[新日本大阪]戦ではKO負けを喫し、ランキングを喪失した。
金丸は9勝(3KO)5敗3分。04年に11月デビュー、05年の新人王戦は2回戦で敗退するも、翌06年の再挑戦ではSフェザー級西軍代表となり、全日本決勝でもあわやKO勝ちかと思わせる大健闘を見せた(引分敗者扱い)。07年に入ってからは中森宏[平仲BS]、吉澤裕規[ウォズ]、岡田誠一[大橋]、今回の相手である川波と、強豪ランカーや大物ホープばかりの厳しいマッチメイクで4連敗。前回、08年4月に敵地でドローに粘り、漸く一息ついた。
1R。金丸は、動きの乏しい川波に圧力をかける形でショート〜クロスレンジの打撃戦。金丸が右中心に先制するが、川波もガード甘い金丸にジャブ、ストレートを連発して互角以上に。
2R。ショートレンジ打撃戦。両者手数互角だが、守備力の差だけ川波のアッパー、フックがよく当たる。圧力でも川波優位の場面あり、このラウンドは差がついた。
3R。同様の展開。川波が手堅くショートフック、アッパーで手数をヒットに繋げるが、金丸もラウンド後半から強打打ち抜く場面目立ち、形勢急接近。終わってみれば互角近辺の攻防に。
4R。膠着気味の打撃戦。明確なヒット数では川波だが、金丸も渋太く手数浴びせて接戦に持ち込む。
5R。ショート〜クロスレンジ打撃戦。先手で攻める川波がジリジリと数的リードを広げる。金丸の反撃は散発的で決め手に乏しい。
6R。川波の右ショートフックがビシビシと入って終始先手。金丸は後手に回って手数でも劣勢に。右ストレート、アッパーで抵抗するが厳しい展開が続く。
7R。川波が左フック、右ショートフック中心に試合をメイク。金丸もタイミング計って手数を返すがやはり散発的。川波はラウンド終盤に左ボディを連発してリードを広げた。
8R。このラウンドも先手で手数出し続ける川波のペース。金丸は単発強打でフックをヒットさせるが、余りにも弾数が少ない。川波は無理せず淡々とした立ち回りで時間を使った。
公式判定は野田79-74、坂本78-75、石川78-76の3−0で川波。駒木の採点は「A」79-73「B」80-75で川波優勢。
川波がリベンジを許さず、前回以上の内容で完勝。動きの切れなどは復調途上だが、終始先手で攻め続けられたのが良かった。A級上位で戦える地力をアピールし、ギリギリの所で踏み止まった。
金丸はガードの甘さが目立ち、被弾が先立ってペースを乱されてしまった。手数を返すも散発的で、今日は勝てる要素が見当たらず。スピード、攻撃力が伸び悩み気味の上に、拙守が目立つ現状では、活路を見出すのもなかなか難しい。