駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第5試合・ミドル級8回戦/○鈴木哲也[進光](4R1分43秒TKO)戸高“フランケン”大樹[大分]●

鈴木は19勝(13KO)7敗の戦績でサウスポー。現在はミドル級でOPBF2位、日本1位というトップコンテンダー。99年デビュー、3連勝から00年度にSライト級で新人王戦に挑むも2回戦敗退。翌01年にはウェルター級で再挑戦するが、西日本決勝で丸元大成[Gツダ]に敗れる。再起後は6回戦を連勝でA級昇格。03年までは3勝3敗と苦しい星勘定が続くが04年、05年には韓国・タイ人中心ながら5連勝してキャリアを積み、06年には板垣俊彦[木更津GB]が保持していた日本ミドル級王座に挑戦する(判定負け)。再起後はタイ人相手に連勝後、前WBF王者という経歴のアルメニア人に敗れる不覚もあったが、その後はランキングを賭けた若手ホープの試合をクリアして再び充実の時を迎えつつある。前回4月の福森智史[正拳]では、相手のボディブローに苦しみながらも10年弱のキャリアで培ったテクニックで判定勝ちを果たしている。
戸高は6勝(4KO)2敗の戦績。04年デビュー。2戦2勝で臨んだ05年の新人王戦では、西部日本のミドル級新人王となるが、中日本王者との対抗戦で敗退した。06年に再起してからは2年余りで4戦と、やや試合枯れ気味ながらも今年6月の試合でB級2勝を挙げ、A級昇格を果たしている。今回は初の8回戦でいきなりのランキングチャレンジ。敵地でもあり、条件は厳しいが……
1R。牽制気味の立ち上がりから鈴木がジャブ中心に先制。戸高もラッシュ敢行し意地を見せるが、鈴木はガードで捌きながらカウンターで有効打、クリーンヒットを連発。余裕ある戦い振りで大差優勢。
2R。鈴木は完全に余裕と自信を持って戦っている。ガードを確実にこなしつつ、カウンターでワン・ツー、右フック、アッパーなど有効打連発。戸高はゴング前に漸く左で一矢報いるが大差劣勢。
3R。鈴木はこのラウンドも自在の攻め。戸高の強打を凌ぎつつ、ワン・ツー、左右フック、アッパーで多彩な攻めからヒットを量産。戸高の攻撃は場当たり的なものに留まっている。
4R。鈴木はフック中心に先手を獲り、ここも自在の攻めを展開。抜群の精度あるブローで戸高の体力を削ってゆき、最後は連打で電車道。無抵抗となった戸高を見て、野田主審がストップをかけた。
鈴木は格の差を見せ付ける好守で完勝。トップランカーとA級上がりたての選手との対戦とは言え、ボクシングの試合でここまでの大差は珍しい。ほとんど完封の大差勝ちである。
戸高はA級緒戦でこの相手は厳し過ぎた、という印象。出たとこ勝負のファイトスタイルが通用するのは西部日本の6回戦までだろう。