駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第7試合・ウェルター級10回戦/○松元慎介[進光](7R終了TKO)赤澤慎司[神拳阪神]●

松元は13勝(4KO)4敗1分。現在はノーランカーだが、最高位は日本Sウェルター級3位。02年デビュー。この年に4連勝し、翌03年の新人王戦にエントリー。西軍代表まで勝ち抜いたが、全日本決勝で敗れてプロ初黒星を喫する。04年に入り、再起戦で当時既に元OPBF王者の肩書きを持っていた石田順裕[金沢]に敗れるも、続く新屋敷幸春[沖縄WR]戦に勝利し、日本ランカーとなる。その後は調整戦をこなしながらチャンスを待っていたが、06年には当時「前OPBF王者」だった日高和彦[新日本木村]との試合と、石田との日本Sウェルター級王座決定戦に連敗し、挫折。08年4月に再起するまで1年4ヶ月の長期ブランクを経る事となる。今回はカムバック2戦目。再度のランキング獲得へ向けて、試合勘を取り戻すと共に、存在感を業界内にアピールするノルマを課せられた試合だ。
対する赤澤は11勝(6KO)6敗。02年デビュー、無敗のまま03年度西日本Sライト級新人王となるが地区対抗戦で敗退する。04年に6回戦を2試合こなし、これを連勝でクリアしてA級昇格。8回戦に上がってからは、ノーランカー相手には圧勝する一方で、中森宏[平仲BS]、山本大五郎[金沢]、前川洋昭、中川大資[いずれも帝拳]といったバリバリのランカー級選手には完敗を喫しており、日本ランキングとの見えない壁相手の奮闘が続いている。今年は2月、4月に東京遠征を敢行しており、今回は久々の西日本での試合。
1R。松本が引き気味にジャブ中心のアウトボクシング。しかし赤澤が強引に仕掛けて一定の戦果を挙げる。だがラウンド中盤以降は松元の主導権。ゴング前には赤澤がラッシュを敢行するが、松元は右カウンターで撃退し、互角以上の形勢を確保した。
2R。松元のジャブが先手。赤澤のアタックもカウンターで撃退して一旦優勢。それでも赤澤は再度のラッシュで右をクリーンヒット。更に圧力をかけて右を追い討ちして形勢逆転。
3R。圧力攻勢の赤澤、迎撃の松元。共に相手を捌き切れず、不用意な被弾が目立つ。このラウンド、中盤に追撃弾を決めた松元に主導権が一旦流れたが、終盤には再び赤澤が攻勢に出た。
4R。赤澤は強引に攻めて先手。豪快なフック攻勢を決めてリード。松元もジャブやフックで反撃し、中盤には主導権争いで五分となるが、1発ごとのパンチ力は赤澤有利で、数的互角ならポイントは赤澤か。
5R。松元はどうにか得意のアウトボクシングに持ち込みたいが、赤澤のアタックを捌き切れず、迎撃で凌ぐのも一杯一杯の感。1発の重みで勝る赤澤が攻勢点でも優位に立つ。松元は単発ジャブが見栄えするが、これがポイントに繋がるかは微妙。
6R。赤澤が猛ラッシュでいきなり有効打連発。しかし偶然のバッティングで左目蓋を切ったのが影響したか、肝心の所でで空転し、松元のカウンターを食ってしまう。ラウンド後半からは松元がアウトボクシングで主導権を獲り、軽打中心ながらヒットも重ねた。
7R。赤澤は左目蓋からの血が目に入るのか、実にやり辛そう。視界が塞がれて空振りも目立つ。松元は手堅いアウトボクシングとクリンチワークで小差ながらリードを築いた。膠着気味になったが、どうにかポイントを確保出来たか。
ここで6Rに偶然のバッティングで作った左目蓋の傷を理由に棄権を申し出て試合終了(「ボクシングマガジン」誌には3Rの負傷とあったが、3Rに負傷したのは松元の右目蓋)。レフェリーの判断ではなく、選手側からの申し出のため裁定はTKO負けとなる。参考までに付記すると、ここまでの公式判定は三者三様のイーブン。駒木の採点は「A」67-66「B」69-67で赤澤優勢。
松元は相手のラフな圧力攻勢を持て余して大苦戦。アウトボクシングとカウンターで凌いだが、パンチ力不足も祟って採点面では微妙なところ。率直に言って、相手の負傷に救われた形。
赤澤は今日も突貫ファイト。それがハマって、互角以上の大健闘を見せていたが、傷の具合と体力切れから試合を諦めてしまった。ポイント上は勝負になっていただけに、勿体無い気もしたが……