駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第5試合・Sバンタム級契約ウェイト(54.5kg)8回戦/○川口裕[Gツダ](判定3−0)中谷年伸[八尾]●

川口は6勝(2KO)4敗。04年10月デビュー。緒戦を黒星とするも、その後は3連勝をマーク。06年にエントリーした西日本新人王戦は、相手選手の棄権で準決勝スタートとなり、その試合でこの年西日本を制覇する難波拓人[明石]に敗れた。再起後にまた6回戦2勝を含む3連勝でA級昇格。しかしそこからはジェロッピ瑞山[千里馬神戸]、馬野晃[ハラダ]という後の日本ランカーに敗れてA級では未勝利。約1年ぶりの試合だが8回戦初勝利を目指す。
中谷は9勝(3KO)14敗3分。93年デビュー、95年にはエントリー4人ながらもJバンタム級西日本新人王のタイトルを獲得している。しかし、新人王地区対抗戦で敗れて以来引分を挟んで6連敗。8回戦に上がってからは大きく黒星が先行し、勝ち星は2〜3年に1度の割合という不振に転落した。07年は4月に馬野晃[ハラダ]を判定で降したが、同年7月に西正隼[正拳]に敗れ、それ以来ここまで1年4ヶ月のブランクを作っている。
1R。川口はスピード優勢利して自在のタイミングで単発中心の攻め。手足共に動き軽く好調の気配。中谷はガードを固めてジリジリと前に出るばかりで攻め手無し。
2R。川口はここもスピード活かすヒット&アウェイ。左フックで押し倒し気味のフラッシュダウンも奪う。中谷はロープに詰めていくシーンを作ったが、依然として淡白で迫力を欠いた。
3R。中谷がここも圧力をかけるが、川口は左の連打中心に手数とヒット数を稼ぐ。中谷はパンチが軽く、せっかくの攻勢も迫力不足。
4R。中谷が距離を詰めようとするところ、川口は左右の手数を小気味良く放って一方的展開に。ダメージブローは少ないが、中谷の単調な攻めに助けられた。
5R。このラウンドも同様の展開。川口が上下に散らした手数とヒットでリード。中谷は左フックを返したが単発。返しの2発目を放った時には川口がステップバックしているのだから、スピードの差はやはり歴然。
6R。川口は足を使ってロングレンジをキープし、右のストレート、アッパー遊ぶ展開。中谷はガードを固めるが手数少なく凡戦気味。川合のパンチも力感に欠け、散漫な内容という感は否めず。
7R。中谷は圧力を強めて右で攻める。川口の手数、ステップも健在だが、中谷の構成がやや目立つか。ゴング前に右カウンターも決めた中谷が、漸く見せ場らしい見せ場を作った。
8R。中谷はこのラウンドも圧力をかけるが、川口もスピード衰えず主導権はガッチリ。パンチの重さでは中谷が勝るが、川口が数で圧倒して五分以上。
公式判定は半田79-74、宮崎78-74、野田77-74の3−0で川口。駒木の採点は「A」79-72「B」79-73で川口。
スピードタイプの軽打型選手が、KOの気配の無いまま主導権を握ってポイントアウトのラウンドを淡々と重ねる内容で、有り体に言って典型的な凡戦。川口はスピードと軽打でほぼ全ラウンドを支配したが、受身の姿勢とパンチ力の無さが採点を必要以上に辛くした。先手で攻められるようになって来たのは収穫だが……
中谷はスピード、パワーいずれも衰えが目立つ。7Rからは右が当たり始めたが、時既に遅しの感。