駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第6試合・Sバンタム級8回戦/○丹羽賢史[Gツダ](判定2−0)島田惇輝[明石]●

丹羽は8勝(2KO)10敗3分の戦績。02年にデビュー、B級資格獲得まで7戦を要し、04年の新人王戦でも緒戦敗退と、やや伸び悩み気味のグリーンボーイ時代を過ごす。その後も6回戦で連勝するも、そこから4連敗と波に乗り切れない時期が続いた。06年10月に久々の勝利を得て、07年にはタイ国遠征でウィラポン、ナパーポンといった世界上位ランカーに挑戦。共に8R判定負けに終わったが、この経験を礎に地力強化。同年9月には元東洋ランカーの坂本裕喜[進光]を降し、その後も橋詰知明[井岡]、三谷将之[高砂]といった強豪に敗れるも健闘。前回、今年8月には中井五代[大鵬]を退けて久々の勝利を得ている。
島田は6勝(2KO)2敗2分の戦績。06年にデビューし、この年を2勝1敗1分にまとめて07年には新人王戦に挑戦。これは2回戦で敗退するが、その後は負傷ドローを1つ挟んで連勝と急上昇中。前回9月には、元東洋ランカーの坂本裕喜[進光]をB級の身分で破る殊勲を挙げている。今回はそんな実績を引っさげて初のA級8回戦に臨む。
1R。島田が前、前へ。丹羽は右カウンターを静かに狙う。島田が手数でリードするが、丹羽は手堅いガードでそれを阻み、右ストレート1発。手数と攻勢点で勝る島田が“アグレッシブ”要素の優勢を確保し、ジャッジにアピール。
2R。丹羽がワン・ツーで鋭くヒットを奪うが、島田は被弾しても怯まず前へ出て、ボディワークとステップの少ない丹羽に反撃。ゴツゴツした打撃戦でほぼ互角も、初弾をよう当てるのは丹羽で形勢微妙。
3R。丹羽が左の強いジャブを当て続けて主導権。島田はフック中心に上下へ攻めて粘るが、丹羽もガードとブロック堅く、ラウンド終盤には右ストレートで島田を一瞬棒立ちにさせるクリーンヒット。
4R。島田が強引なアタックで主導権奪取。丹羽はボディを打たれつつもジャブとストレートでヒットをお返し。島田は被弾も構わず果敢に反撃して優勢を守り抜こうとしていたが、ラスト10秒の拍子木と共に丹羽が連打をヒットして形勢は混沌に。
5R。丹羽のストレートがここに来て当たり始める。島田は強引に圧力をかけてフックを放つが、密着を振りほどかれて丹羽の連打を浴びるなど苦しいシーンも見受けられた。
6R。島田は再び圧力攻め。手数も増して上下へフック、アッパー。丹羽はストレートで応戦するが、島田の手数に押されて後手に回る場面も。強打の重さで貫禄は見せたが、ここは少々不利か。
7R。丹羽はストレートとボディワークを意識して島田の攻めを容易に許さず。ストレート以外にもカウンター合戦ではフックも決めた。島田も猛烈な圧力と手数で攻め立て、丹羽をクリンチに逃げさせる場面も作った。
8R。クロスレンジ中心の打撃戦。丹羽がジャブで先制し、打ち合いも的確なアッパーで見栄え良し。島田も気迫溢れる圧力攻勢だが、攻撃の精度で見劣りした。
公式判定は野田78-75、原田78-76、北村77-77の2−0で丹羽。駒木の採点は「A」78-74「B」78-77で丹羽優勢。
丹羽は試合前半に相手の圧力・手数攻めに苦戦したが、的確なジャブとストレートで“クリーンヒット”要素の優勢を固め、接戦を制した。今日は自分の長所も短所も出た試合で、地力勝ちと言えそうだ。
島田はフック中心に圧力と手数、上下打ち分けの巧さも見せつつラフな攻勢で相手を苦しめたが、技術的にはまだまだ発展途上。現状は8回戦では少々家賃がお高め。