駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第7試合・フェザー級8回戦/○小路尚也[Gツダ](判定3−0)児島芳生[明石]●

小路は10勝(3KO)5敗1分の戦績。02年デビュー。連敗スタートのキャリアとなったが、その後は4回戦上位クラスのパフォーマンスをキープし、引分を挟んで5連勝をマーク。04年と05年にエントリーした新人王戦はいずれも西日本準決勝までで敗退したものの、その後は6回戦を3戦でクリア、A級でも昇格後いきなり連勝するなど好調を持続させた。07年11月には武本康樹[千里馬神戸]の日本ランクを奪い損ねるも、今年7月には森川弘幸[高砂]を判定で降して再起成功。今回は2度目の日本ランク挑戦になる。
児島は11勝(2KO)9敗2分の戦績で現在日本フェザー級9位。00年にデビュー。4回戦は脱出に3年半を要し、新人王戦も2年連続で予選敗退。6回戦からA級昇格までにも2年をかけたが、A級3戦目の06年11月に当時日本1位だった武本在樹[千里馬神戸]を僅差の負傷判定ながら降す大番狂わせを演じて日本ランカーへ。その後、今年3月に在樹の実弟・康樹に敗れて順位を下げたが、その後は3度のランキング防衛に成功している。今年は「最強後楽園」に挑戦したが、1回戦で高山和徳[船橋ドラゴン]の前に敗退している。
1R。同タイプのファイター対決。児島が一枚上のキャリアを活かして押し勝ち、攻勢点と主導権で優勢。しかし小路は受身に立たされつつもフック中心に手数を稼いで懸命に抵抗した。
2R。クロスレンジ乱打戦。両者が合わせ鏡のようにショートと大振りをぶつけ合う。小路はラウンド序盤からマウスピースを吐く失態があったが、打ち合いでは僅かにヒット数で先行し、その挽回に成功。
3R。このラウンドも早々にマウスピースを吐くなどスタミナに不安残す小路。しかし回転力とショートレンジからの右ストレートで有利な形勢を作る。児島はラウンド終盤からスタミナを活かしてタフな反撃。強打も交えているが、やや決定力不足の嫌いも。
4R。児島が圧力強めてアッパー連打。小路も真正面から応じて一進一退の攻防戦。しかしここは体力で勝る児島が小差ながら攻勢点でリード奪った。
5R。圧力と手数、強打をぶつけ合うクロスレンジ戦。児島が圧力と手数でややリードしたが、小路は離れ際に放つ強打が鋭い。ラウンド中盤のボディ合戦は両者の意地が見え、出色の内容。
6R。果てしなく続く乱打戦。児島がラウンド序盤に細かく連打で先制したが、中盤からは小路が連打を立て続けに有効打。ダメージブロー連発で流石の児島も効いたか。
7R。児島が圧力手数攻勢。小路は押し返しながら上下に単発強打打ち込んで応戦。見栄えする小路の攻めだが、児島の粘り強烈。逆に小路の体力が切れて、この試合3度目のマウスピース吐きで消耗振りを露呈してしまう。
8R。ショート〜クロスレンジの乱打戦、カウンター合戦。小路がクリーンヒット、有効打を連発して優勢。児島は手数こそ出ているが、武器の圧力攻めを受け止められてインパクト不足。懸命に食い下がるが劣勢は否めない。
公式判定は原田79-73、半田78-76、北村77-76の3−0で小路。駒木の採点は「A」78-74「B」78-77で小路優勢。
同型のファイター同士による大熱戦。一進一退の攻防が続いたが、一撃の重さで勝る小路が念願の日本ランカーに。器用さに欠ける面などもあり、このランクをどこまで粘れるかは不透明。地位に相応しい実力を身につけようという本人の奮起に期待したい。
児島は出来にムラのある選手だが今日は好調の部類。持ち前のスタミナと手数で攻めたが、圧力合戦で勝ち切れずに要所で痛打も浴びてしまった。