駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第7試合・Sフェザー級6回戦/○戸村能久[仲里ATSUMI](判定3−0)湯川翔太[江坂]●

両者戦績は戸村5勝(3KO)6敗1分、湯川4勝(2KO)1敗1分。戸村は先の試合の小阿同様、Gツダジムからの移籍組。07年2月以来、久々のカムバック戦となる。湯川は新人王戦2回戦で、後に全日本新人王となる吉野典秀[進光]に敗れて以来の再起戦。
1R。戸村は新人選手のような溌剌でアグレッシブな攻勢。しかしやや単調な嫌いもあり、湯川はステップとガードで捌きながらジャブ中心に反撃し、主導権確保。戸村も相撃ち覚悟で放つ強打の迫力有る。
2R。湯川はマイペースの捌きからワン・ツーで先制したが、戸村は「打たれ終わり」狙いの反撃で対抗。湯川がクリーンヒットで戸村を一瞬棒立ちにさせるが、ラウンド終盤には戸村の執念が実る形で、湯川がスリップ気味ながら痛恨のダウンを喫した。
3R。湯川はこのラウンドも主導権を確保、左ボディを再三めり込ませるが、戸村の粘り強いフック攻勢に被弾も多く微妙な形勢。打ち終わり狙いの攻防がキーポイントになっている。
4R。湯川は攻防分離の傾向あって、ガード固めると手がなかなか出ない。戸村はクロスレンジの手数攻めでアグレッシブに攻め、有利な展開。湯川もラウンド終盤から反撃の機会窺うが、逆にフックを浴びて危ない場面。
5R。湯川は徹底的に足を使うアウトボクシングへ移行。ジャブは多数当たるが、戸村は圧力を強めてコーナーでフック見舞い有効打ゲット。アグレッシブさと強打で戸村の攻勢が目立つ。
6R。湯川はこのラウンドもアウトボックスだが、ジャブ中心でインパクト不足。戸村は強引にフック浴びせて要所を押さえる。湯川はワン・ツーのクリーンヒットで意地を見せるが、最後まで攻めあぐんだ感が否めず。
公式判定は原田59-55、宮崎58-56、坂本58-56の3−0で戸村。駒木の採点は「A」58-55「B」60-56で戸村優勢。2Rは、ダウンシーンの外は形勢混沌としており、まさに勝敗を分けたダウンとなった。
戸村が1年9ヶ月ぶりの試合に快勝。愚直な圧力攻め一本だが、タフネスと精度あるフックは流石6回戦クラス。B級なら上位の実力だ。
湯川はB級に入ると、自分で流れを作っていけないのか、攻防分離傾向が目立ち始めた。アウトボクシングで凌ごうとする場面でもジャブから先が出ずにポイント確保に失敗。打ち合いでも、ハンドスピードの優位性が無くなって打ち負ける場面も多かった。身体能力的には6回戦でも通用するが、1つ1つのテクニックを実戦の中で巧く組み合わせるようにならなければ今後は厳しくなるかも。ともかくも日々の練習、そして実戦経験だ。