駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第5試合・Sライト級契約ウェイト(63.0kg)8回戦/○水本昌寛[井岡](3R0分59秒)川原慎次[陽光アダチ]●

水本は8勝(2KO)1敗2分の戦績。06年デビュー、この年に2連勝した後、07年の新人王戦では5連勝でウェルター級西軍代表まで進出するが、全日本決勝では岳たかはし[新田]に敗れる。08年は、2月に巴山宏知[正拳]とドロー、6月に若林豪[Gツダ]に勝利、7月には東京遠征で山崎祐樹[JBSPORTS]とドローなど、地区新人王クラスの選手と互角以上に渡り合っている。今回は初の8回戦。
川原は7勝(6KO)20敗3分。92年、アポロジムからデビュー。しかし緒戦KO負けから一時リングを遠ざかり、96年に再デビュー。それ以後、6勝1敗1分の好成績で97年末にA級に昇格。98年には連敗の後、8回戦で初勝利を挙げるが、そこから2つの引分と正拳ジムへの移籍を挟んで15連敗。06年には引退試合まで行ったが、現役への未練断ち難く08年に復帰。バンタム級前後だったウェイトを一気に増量させ、2月の再起戦ではSフェザー級で5RTKO負け、そして8月の試合ではウェルター級で6回戦に臨み、格下相手ながら一時引退前から数えて約10年ぶりの勝利を挙げて連敗を16で止めた。今回も中量級での試合となる。
1R。川原はロングレンジからトリッキーなタイミングで懐に潜り込み、コンパクトなフック、アッパーで先制。水本は圧力かけつつ強振を返すが、ここは川原のキャリアが活きたラウンド。水本は川原の老獪なフェイントに封じられて攻めあぐみ気味に。
2R。川原、このラウンドも距離を支配し主導権も窺うが、本来バンタム級の選手の悲しさ、水本のウェルター級水準のリーチと体格で迫られると苦しい。水本はアッパーを上下に突き刺して優勢に。パンチ力とパワーの差が活き始めた。
3R。このラウンドに入ると、水本の圧力が川原を圧倒。ロープ背負った川原は体力切れで動けず、打撃戦で応戦したが最後は力尽きてダウン。ここで即座にタオルが投入されてTKOとなった。
水本が久々に明確な形でのKO勝利を挙げた。1Rはキャリアの差に翻弄されて苦しんだが、徐々にナチュラルな体格とパワーのアドバンテージが活き始めた。
川原はキャリア活かしてヒット数有利の場面もあったが、徐々に体格と体力で圧されて厳しい展開に。当初から序盤戦勝負のような様子も窺え、1Rの攻勢でクリーンヒットを奪いながらダメージを与え切れなかった所で万事休していたのかもしれない。