駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第5試合・ライト級8回戦/○山下将臣[高砂](7R0分39秒TKO)長屋洋[岐阜ヨコゼキ]●

山下は9勝(3KO)4敗1分。04年にデビュー、06年に新人王戦にエントリーするも準決勝でこの年の西軍代表・山本敏充[江坂]に敗れる。タイ人相手に6回戦を連勝してA級入りするが、一進一退の成績。08年3月の木原和正[ウォズ]戦は完敗を喫して初のランキング挑戦は失敗に終わったが、7月には荒川正光[京都拳闘会]を1RKOに降している。
遠征の長屋は6勝(2KO)7敗2分。98年にデビューし連勝、99年には中日本新人王で準優勝するが、翌00年の再挑戦は緒戦で後のOPBF王者・國見泰央に敗れる。01年に6回戦で連敗して一時引退、6年後の07年に復帰して4戦目となる08年6月にB級2勝を挙げてA級昇格。しかし10月の初8回戦は九州遠征で5R負傷判定で敗れている。
1R。山下がリードジャブ連打で主導権。長尾の足止めに成功して早々にマイペースを築く。しかしジャブを当てた後に狙う左フック、右ストレートは不発。長尾はスピード不足でテクニック面も8回戦としては平凡。密着して手数を浴びせるだけの単調な攻めに終始している。
2R。このラウンドも回転力で勝る山下がリーチ差も利して主導権確保し手数でもリード。だが長尾もボディブローと右ストレートで激しく抵抗。山下が要所で打ち勝ってポイント争いは優位であるものの、差は小さい。
3R。長尾が左アッパーで先手を獲り攻勢。山下は軽打中心に迎撃し、打ち合いにも応じたがこちらは不発。ラウンド終盤には長男が左アッパー→右フックでクリーンヒット、山下はクリンチに逃げるのがやっとで守勢に回った。
4R。山下がスピードで遊ぶ展開に持ち込む。長尾に右を有効打されて一瞬棒立ちになるが、手数と主導権争いで大きく有利の山下が左ボディも決めてポイント確保。しかし見るからに軽いパンチが多い場面もあり、インパクトという意味では微妙。
5R。このラウンドも山下ペース。ジャブ連打を起点に強打を狙い、右アッパーなどで有効打も奪う。しかしナックルを当てるのが甘く、決め手不足の印象も。長尾も一度二度とラッシュ敢行するが、ヒットに繋がらず苦しい展開。
6R。同様の展開が続く。両者決め手無く、ここに来て凡戦ムードに。山下が軽打の山でポイント窺うが、長尾も右ストレート、左アッパーで抵抗。一発の威力では長尾で、微妙な形勢になってしまう。
7R。長尾が左右の強打で先制するが、リートで勝る山下がカウンターを決め、長尾が怯んだところで猛ラッシュ。コーナーまで電車道で押し込んでレフェリーストップ。
山下はスピードと体格の有利を活かしてほぼ終始試合を支配したが、ナックルを外しがちのパンチはインパクト不足で、攻めあぐみ感の拭えないシーンも多かった。相手に多少恵まれたとは言え、TKOで決めたのは1つ収穫も、攻防分離傾向やパンチの軽さも目立ち始め、まだまだ課題は多い。
長尾はスピード、圧力、パンチ力等等、西日本の8回戦では厳しいレベル。今日も勝機は少ないながらも有ったのだが、ここぞという所で詰め切れなかった。