駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第8試合・バンタム級8回戦/●チャットーン・ギャットトーボーウボン[タイ国](6R0分19秒負傷判定0−3)ジェロッピ瑞山[千里馬神戸]○

チャットーンはOPBFバンタム級10位にランクされる選手だが、過去の来日戦績は日本ランカー級選手を中心に3戦して未勝利3敗。しかし判定まで粘った試合が2度あり、ランキングなりの試合内容はメイクしている模様。
今回は青コーナーに下ったジェロッピは18勝(8KO)1敗2分の戦績で、OPBFのSフライ級4位のほか、日本ランキングでもSバンタム級で11位にランクされている。05年4月にデビュー。14ヶ月で10戦、デビュー戦の負傷判定を除いて9連勝をマーク。続く比国タイトルマッチで初敗北を喫し、07年2月には敵地・南アフリカで現WBCバンタム級1位のブシ・マリンガが保持していたWBCインター王座に挑戦し、惜しくもドローに終わる。その後は長谷川穂積のスパーリング・パートナーを務めた縁で千里馬神戸ジムに長期滞在。現在は輸入ボクサー扱いで千里馬神戸所属となっている。来日以来、難波拓人[明石]、川口裕[Gツダ]、松元雄大[Gツダ]、西正隼[正拳]、と西日本の若手A級選手への4連勝を含む負け無しの7連勝。08年9月には中日本の負け越し選手を2Rで片付けて格の差を見せ付け、11月に元日本ランカーの村井勇希[Gツダ]を技術で完封している。
1R。両者牽制しながら断続的に直線的なアタックをし、ボディブローを繰り出す。捌き合いで明確なヒットの少ない互角の展開だが、先手の攻めはチャットーンが僅かに多いか。
2R。このラウンドに入ってジェロッピは意識して先手の攻め。左フック、右ボディでヒット、有効打連発。短時間で相手の動きを見切るジェロッピの目の良さは今日も健在。チャットーンはカウンターで反撃するが不発目立ち、ヒット数でも見劣り。
3R。平均ペースで強打を放つ、メリハリに欠ける展開に。ジェロッピが慎重に右ボディストレートを決め左右フックを顔面に入れる。右ストレート連発であわやダウンという場面もあったが、裁定はスリップ。
4R。ショート〜ミドルレンジの打撃戦。ジェロッピがボディと右フックで有効打を連発。チャットーンもボディ中心にヒットを返して粘り強い。やや大味な展開が続く。
5R。このラウンドも打撃戦。左ボディ、右フックでジェロッピが優勢に立つ。効かされたちゃっとーんはクリンチが多くなった。ジェロッピはラッシュでも決めて仕留めたかったが、決定的場面には至らず。
6R。ラウンド開始直後に偶然のバッティングでジェロッピが左目上を負傷。まだ続行出来そうな怪我だったが、試合の趨勢は決しつつあり、客席の盛り上がりも今一つということで打ち切り気味のストップ。
6Rまでの採点で争われた公式判定は半田60-55、原田60-56、坂本60-56の3−0でジェロッピ。駒木の採点は6Rを10-10で固定して「A」59-56「B」60-56でジェロッピ優勢。
ジェロッピがワンサイド気味の優勢に持ち込んで来日8連勝。東洋圏での強さを今回もアピールしたが、またも単調な試合展開で客席を冷やしてしまった。淡々とした攻めはジャッジ的にも印象が悪くなりそうで、もっとKOを狙うケレン味が欲しい。
チャットーンはそれなりに戦意のある所を見せたが、ランキング相応の選手という印象。