駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第4試合・Sフェザー級契約ウェイト(58.0kg)8回戦/●松田雄太[SFマキ](5R0分59秒KO)玉越強平[千里馬神戸]

松田は6勝(2KO)4敗1分の戦績でサウスポー。04年にデビュー、しかしデビュー戦が日高慎一[尼崎]、05年新人王戦の初戦で相手が翌年覇者の金丸清隆という相手運の無さもあって、4回戦を突破したのは07年11月の9戦目のこと。出世は随分と遅れたが、08年には6回戦を連勝してA級にストレートインしている。前回は08年9月、A級選手の片山博詞[アポロ]を判定に降している。
玉越は22勝(9KO)5敗6分の戦績で、現在Sバンタム級OPBF8位・日本3位。99年にデビューし、00年の新人王戦では西日本決勝まで進出。その後は01年いっぱいまで6回戦〜8回戦で苦戦続きの停滞期を経験するが、02年から5年余りに渡って無敗をキープ。03年には当時無敗・日本1位の池原信遂[大阪帝拳]に土をつけて日本ランクに躍進し、04年6月には中島吉兼[角海老宝石・引退]が保持していた日本タイトルに挑戦している(結果は負傷ドローで挑戦失敗)。07年6月には強豪王者ウェート・サックムアングレーン[タイ国]に挑戦、ダウンを奪うなど大健闘するも逆転判定負けに終わった。間もなく再起し、現在はタイトル再々挑戦を目指し実績作りの途中。07年11月には新進気鋭の石東正浩[Gツダ]にドローとされたが、08年にはノーランカー相手ながら連勝を飾り、順調な復活への道を歩んでいる。
1R。両者ジャブを捨てながらストレートや返しのフックを狙うオーソドックスな展開。共にスウェーやステップバックを駆使して相手の攻撃を捌いてゆくが、数発ずつヒットが交換された。松田の先手を意識した攻めが印象的だが、ジャッジ的には大差に至らず互角の範疇か。
2R。このラウンドも松田は右ジャブを起点にした左狙いという基本通りの組み立て。玉越はこれを捌いて右で自在の攻め。トリッキーなタイミングでストレート、フック、アッパーを放ってヒット数で先行する。松田のストレートも当たってはいるが、不完全なヒットでポイントには繋がらない。
3R。松田はラウンド序盤に右ジャブから右フックに繋げてクリーンヒット、玉越を一瞬効かせたが、早くもスタミナが切れ始めてクリンチに逃げる場面が目立つように。玉越はこれを好機とばかりに右で反撃して再三のヒット奪取。松田も終了ゴング前に右フックのヒットで食い下がるが、挽回したとは言い切れぬ戦況。
4R。松田がアグレッシブに攻めて主導権奪回。ラウンド序盤にはフック合戦で優勢に立ち、右のスマッシュ→左ストレートなどで印象的なシーンを作る。玉越も中盤には右ストレートを再三決めて小差に踏ん張るが……
5R。このラウンドも同じ展開になりかけたが、玉越が好位置から絶妙の右クリーンヒットでノックダウン。松田は立ったが踏ん張りが利かないほどの大ダメージで、玉越の右フックを追撃されて2度目のダウン。ここでタオルが投入されて試合ストップ。JBCルールではTKOだが、西日本特有のコミッショナー判断によりKOの裁定。
玉越は松田の巧さに随分と手こずったが、決定力と体力面の優勢を見せつけて、終わってみれば完勝の形。防戦に立たされながらもキッチリ反撃で戦果を挙げるところなどは流石日本ランカーといったところ。
松田はジャブ起点に攻めて主導権を握った時間も長かった。左ストレートに加えて右フックも効果的に使い、日本ランカーを苦しめたが、“持病”のスタミナ不足などフィジカル面の差が中盤戦以降モロに出た形。それでも実力的にはA級で目処が立つ内容。