駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第5試合・フェザー級契約ウェイト(56.0kg)8回戦/○脇本雅行[高砂](5R2分45秒負傷判定3−0)森島祐介[岐阜ヨコゼキ]●

脇本は8勝(3KO)2敗のサウスポー。アマ時代に実業団選手権優勝の実績を挙げ、06年デビュー。この年を3連続KOでクリアし、翌年には勇躍新人王戦にエントリーするが、2回戦でこの年の西軍代表・村澤光[尼崎]に敗れる。再起後は6回戦で連勝するも、やはり07年度の西日本新人王・真木大作[JM加古川・引退]に敗れてしまう。それでも08年12月に再起戦を6回戦で勝利し、今回が初の8回戦。
対する中日本からの遠征である森島は20勝(6KO)13敗5分というタフな戦績。98年デビュー、99年度の新人王戦ではSフライ級で中日本新人王となるも、西部日本代表との対抗戦で敗退。その後は引き分けを多数挟みながら03年まで8連勝をマークし、日本2位までランキングを上げもしたが、04年からは急に負けが込み始め、最近では1勝3敗のペースに甘んじている。前回12月の試合では、連敗を3で止める1RTKO勝ちを飾っていて、今回は西のホープを倒しての再浮上を狙う。
1R。森島はアグレッシブに前、前へ。フック中心の圧力強打攻勢も、脇本はディフェンス手堅く、足も使ってジャブからワン・ツー中心の基本に忠実な攻守で五分以上に対抗する。主導権も譲らず、地力の確かさをアピールした。
2R。このラウンドも脇本ペース。足を使ってリズムを整え、ジャブ、左ストレート中心に、右アッパーも交えてヒット数でリード。森島も攻めの姿勢は失っていないが、戦果は右フック1発のみ。
3R。脇本はステップを多用した試合運び。頭と足の位置を絶えず変えつつ、左ストレート狙いを実らせて着実にリードを広げる。森島はアグレッシブさは失わぬが、攻めに力強さが消えてきた。左右の強打も当たりは浅い。
4R。脇本ペースが続くが、偶然のバッティングで左目上を切って苦しい状況に。スリップダウンもあり、失速傾向。森島も単調かつ乱暴な強振ばかりで、カウンターを合わされてクリンチに逃げる場面も。ラウンド終盤、脇本は左ストレートと右フックでヒット連発して優勢を確立した。
5R。森島の攻勢はどんどん乱暴になっていく。脇本はこれに果敢な応戦でヒット数リード。右アッパーや左ストレートで有効打を奪っていくが、KOの気配は希薄で、とうとう脇本の左目上の傷が見咎められて、ドクターストップとなった。
5Rまでの採点で争われた公式判定は川上50-46、坂本49-46、大黒49-47の3−0で脇本。駒木の採点は「A」50-45「B」50-46で脇本優勢。
脇本がステップワーク、ボディワークに正攻法のワン・ツー、さらに右フック、アッパーで確実な試合運び。完勝で8回戦緒戦を飾った。スピードを活かし切れる理詰めのボクシングになって来た。ただ、パンチ力は現時点でまだA級の中では平凡。
森島はアグレッシブに攻勢をかけたが、ラフで力強さなし。日本2位の面影は薄れ、そろそろ引き際を頭の片隅で考え始める時期が来ているのかも。ただ、デビュー10年も間近のベテランながらまだ28歳。定年までは長い時間が残されており、あとは本人の美学の問題だろう。