駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2部総括

一言で表せば「最高の前座と最低のメイン」。これほど後味の悪いメインイベントを観たのはいつ以来の事だろうか。
メインイベンターは、観客に最低3千円のチケット代と貴重な休日の余暇の時間に相応しい対価を試合内容で提供する義務を負い、日本ランカーは日本のプロボクシング選手の代表として地位に相応しいパフォーマンスをする義務を負い、そしてプロボクサーは卓越した技術を基盤に拳で相手をノックアウトすべく殴るのが仕事である。故に、観客に愉悦と興奮を提供する気持ちの無い者はメインイベントに出場する資格は無いし、卓越した技術を惜しみなく発揮する事が適わない者は日本ランクに留まるべきではないし、KO勝ちの可能性を自ら捨てて「10-9」のみを有り難がるような者はプロのリングには上がるべきではない。ましてや、そのような「10-9」の羅列で得られた記録上の勝利にどれほどの価値があるだろうか。悔し涙にむせびながらキャンバスに沈んだ4回戦ボーイの黒星の方がずっと尊いのではないだろうか。
リングに上がらぬ者としては分不相応な、辛辣に過ぎる評論と思われるかも知れない。しかし一寸の虫にも五分の魂。一介の観戦者にも譲れない「ボクシングに関わる者の矜持」はあるのだ。それをリスペクトすべき選手によって打ち砕かれた悔しさ、無念。どうかご理解頂きたい。
さて、良い所にも触れておこう。KOラッシュとなった前座の中では、上村と谷のスピード感溢れるファイトに次戦以降の期待が高まった。そしてセミの吉野は難しい全日本新人王戦からの緒戦を好内容でクリア。まだこなすべき課題は残されているが、数年後にタイトル争いが出来るだけの素質は感じた。こちらも次戦が待ち遠しい。