駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第6試合・フェザー級6回戦/○加治木了太[協栄](判定3−0)山本敏充[江坂]●

東軍代表・加治木は5勝(5KO)2敗の戦績。東日本決勝では苦しい試合展開の中で2度のノックダウンを果たして逆転勝ち。東のMVPに輝いた。確かな技術のバックボーンの上に強烈な左フックというキラーショットを備えている。
西軍代表・山本は7勝(6KO)無敗。守備中心のファイトスタイルながら、チャンスを掴むや一気呵成に畳み掛け、猛ラッシュでTKOを奪う決定力の持ち主。西軍代表戦の不戦勝は良い休養になったはずで、晴れの舞台で大物食いを目指す。
1R。両者探り合いのラウンド。加治木が左ジャブ、右ストレートで攻勢を仕掛け、不完全ながらもヒットを奪う。山本はディフェンシブに構えて左ストレートを狙う。加治木の左フックに対する警戒も抜かりなく、ダッキングで躱していった。
2R。山本が左ストレート2発ヒットで先制も、その後は互いの鋭い手数を華麗なディフェンスで捌き合う、新人王クラスにしては相当に高度な神経戦。山本はラウンド終盤にもストレートをヒットさせるが、加治木の圧力強く攻勢点は流れたか。
3R。8回戦級の技術戦。山本が左ストレートから右ボディ、左フックとヒット重ねて優勢に立つと、加治木の迫力ある攻勢も巧みに捌いて左ストレートでヒットを追加した。
4R。山本が距離詰めて攻勢も、加治木のカウンターと同時にスリップしてしまい、これをダウンと判定される不運。加治木は試合の流れを変えてもらった幸運を攻勢に繋げ、左ボディフックをクリーンヒットさせて、今度は本当に山本を苦悶させる。しかし山本も左ストレート、フックでラッシュする猛反撃を見せる。
5R。形勢微妙なまま終盤戦へ突入し、両者攻撃的な試合運びに。山本が左ストレートをクリーンヒットさせ得意のラッシュへ出るが、加治木も左フック、右ストレートをクリーンヒットして効かせる反撃。山本はその後も左フックで追い討ちするが、加治木も強打攻勢で押し返す。
6R。打撃戦。山本が右フック、左ストレートでヒット重ね、着実にリードを奪う。加治木も迫力あるショートブローを浴びせるが、明確な有効打をなかなか奪えず、最後まで微妙な形勢のまま試合終了のゴングを聞いた。
公式採点は安部60-55、浦谷59-56、福地58-56の3−0で加治木。駒木の採点は「A」57-56「B」58-57でいずれも山本に1点の優勢を見たが……。
山本がディフェンス中心のファイトで的確なヒット数では上回ったが、公式採点では加治木の攻勢点と地味ながらも山本を苦悶させたダメージブローが積極的に評価されたようだ。客席に陣取ったマニア、関係者の見解では「加治木小差優勢〜ドロー・山本勝者扱い」が多数意見。いくらなんでもフルマークの5点差は無いだろう、というのが共通した声であった。
加治木が持ち前のパワー・パンチ力でダメージを与え、ジャッジに力強くアピール。誤審の疑いのあるレフェリングや、やや地元の利も感じさせる採点に恵まれながらも、内容の伴った判定勝ちをマークした。今日は守備面でも確かな技術を感じさせ、近い将来にも期待を持たせる試合だった。
敗れた山本も、守備中心のファイトながら互角以上に渡りあったものの、ダウン判定の不運もあり、自分のボクシングに徹し切れない展開に引き摺り込まれてしまったか。精度高い攻撃でヒット数では上回ったものの、要所要所で手痛い逆襲を浴びたのもジャッジの心証を悪くしたのかもしれない。