駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第8試合・Sフェザー級5回戦/●阿部隆臣[新日本大宮](判定0−3)吉野典秀[進光]○

両者戦績は阿部8勝(1KO)1敗1分、吉野6勝(1KO)無敗1分。
1R。東西スピードスター決戦の開幕。両者反射神経鋭く、相手のハンドスピード鋭い連打を互いに捌きあう。吉野が先手でボディにヒットを奪うと、スピードのベクトルを前へ向けて攻勢点を稼ぐ。
2R。吉野の前へ向かうスピードが試合を主導。右カウンターで2発有効打を奪うと、阿部は思わずクリンチ。グリーンボーイとしては超速の捌き合いの中、吉野が手堅くリード確保。
3R。吉野はこのラウンドもアグレッシブ。阿部も前に出て泥仕合気味の展開に。バッティングも目立つが、吉野はラウンドの序盤と終盤に右を有効打、クリーンヒットさせてヤマ場を作る。
4R。阿部は圧力かけて手数も、吉野の捌きの前に不発。吉野は的確に右のカウンターを上下に決めてヒット数で大差優勢。手数もまとめて磐石の態勢。
5R。このラウンドも激しい手数の応酬。吉野が際どく阿部の攻めを躱しながら、要所でヒットを稼いでゆく展開。阿部の圧力も強いが、吉野のリードは大きい。
公式判定は染谷49-46、阿部49-47、土屋48-47で吉野で、西軍は貴重な貴重な1勝をゲット。駒木の採点は「A」「B」いずれも50-45吉野。採点を迷うようなラウンドもそれほど無く、少なくとも1点差の採点はかなり不可解。
吉野がスピードスター対決を制して3年ぶりの西日本勢1勝(不戦勝除いて)。カウンターの精度の高さとアグレッシブさで相手を圧倒、採点こそ際どくなったが、これで負けにされたら大事件。
阿部は主導権争いに敗れ、自分の思うように戦えなかった。今日は状況不利を打開するためにファイタースタイルでも戦ったが、慣れないなりに目先を変えて活路を見出すのは上位クラスの選手に相応しい発想。敗れはしたものの意地は伝わってきた。