駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第1部第2試合・Sフライ級4回戦/△山本良貴(判定1−1)園部圭祐△

山本はこの日デビュー。園部は1勝1分の戦績。
山本は選手アンケートの“好きなボクサー”の項目に書いたのが、よりにもよって「亀田興毅」。良識あるボクシングファンなら頭痛を発症しそうな返答だなぁ…などと思っていたら、案の定、試合前からやりたい放題やってくれた。
まずは入場直後に「どうしてもこれがやりたかった」とばかり、相手コーナーに駆けて行って、対戦する園部に額をくっつけてメンチを切りに。そして、試合開始直前でも再び執拗にメンチを切って挑発したは良いものの、ドレッドヘアーを額でまとめて止めるために使っていたビーズが凶器と認定されて、コーナーでセコンド総出で髪の毛をほどく醜態に発展。やる選手もやる選手なら、止めないトレーナーもトレーナーだな。
1R。“にわか亀田流”の大振りパンチで迫る山本を、園部が様子見しつつ捌く展開。山本が強引な手数に任せてヒットを3〜4発奪うも、園部はボクシングの技術で同数のヒットを奪った。
2R。テクニックで完全に圧倒する園部が右ストレートを続けざまにヒット。が、ディフェンスが甘い上に不用意な姿勢で動きを止めて様子を観てしまうため、1発被弾するたびに不恰好なヨロけ方を見せてしまい、印象が良くない。ジャッジは微妙。
3R。単発気味ながら右ストレートでヒット数を稼ぐ園部のペースは動かないが、スタミナ難とボディバランスの悪さが災いして、やはり印象が良くない。山本から3発クリーンヒット気味にもらって、これまたジャッジ的には微妙か。
4R。園部が距離を取って、ジャブ、ワン・ツーで手数を稼ぐ。一方、鼻血を出して体力を失った山本は待ちのボクシング。園部に合わせてフック、アッパーを連打するも、やや不正確。
公式判定は39-37(山本優勢)、39-37(園部優勢)、38-38の三者三様ドロー。駒木の採点では39-37園部支持。
山本は何とか引き分けを拾ったものの、試合前の威勢の良さとは裏腹の試合内容に終始。ほろ苦いプロ緒戦となった事だろう。憧れの亀田興毅だって、大言壮語の裏では真摯な態度で日々練習に励んでいるのだ。パフォーマンスに走る事のリスクを重々承知した上で今後のプロ生活を送って欲しい。
園部はテクニック面で大きく上回りながらも、不用意な戦い方でみすみすポイントを失った。パンチを放つ最中に逡巡するようでは、せっかくの技術も宝の持ち腐れである。