駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第5試合・Sバンタム級6回戦/●高野愛[塚原京都](判定0−3)中岸風太[カシミ]○

両者戦績・臨戦過程

試合展望(60-40高野優勢)

今や西日本の裏エース的存在にまで伸し上がった秒殺王・高野と、全国的に注目を集める中岸との注目の一戦。
地区対抗戦の中岸はプロデビュー以来の連勝を止める初のドロー。試合前半はグリーンボーイ離れした超高速のコンビネーションで主導権を握り、1R早々にダウンを奪うなど絶好調。ディフェンスでもステップワーク巧みに満畑の攻めを軽やかに捌いていった。しかし徐々に必要以上にラフさが露わとなってゆき、折角のハンドスピードも精度の甘い大振りで活かし切れない場面が目立ち始めた。
特に中盤以降のインファイトでは勢い任せに主導権を奪いにかかるものの、ガードが甘い所を咎められて逆に被弾してポイントを失ってしまう。終盤にはアウトボックス主体に長所を活かすボクシングに切り替えてギリギリのポイントアウトを果たしたが、突出した長所と相手次第では致命傷に繋がる穴の両方が認められる試合内容だった。
さて、この中岸に対するは、一気に距離を詰めて剛打を振るうタイソンばりのファイトスタイルで連続秒殺KOをスコアした高野である。恐らく今回も高野は試合開始早々から仕掛け、西日本決勝の再現を狙う事だろう。そしてまた、好戦的な中岸がこの接近戦に不用意に応じてしまう確率も高いのではないか。もし一度高野が懐に飛び込んでしまえば、中岸はガードの甘い選手だけに危険な場面がすぐに訪れよう。
中岸が勝つとすれば、やはり距離を取ってハンドスピードとステップワークを活かしたアウトボックスに徹する事だろう。横の足を上手く使ってロープ・コーナーに詰められないように気を遣えば、スピードに乏しい高野は何も出来ないまま試合を終える事になるはずだ。
ともかくも、この試合はどちらが勝つにしても圧勝・完勝。プロボクシングならではのスリリングな展開を愉しもう。

試合経過

※観戦記は後日更新。公式判定は上中60-54、宮崎60-54、野田59-55で3−0中岸。駒木の採点は59-55中岸優勢。