駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

興行概要および雑感

西日本ボクシング界の夏の大一番とも言える、ダブル世界タイトルマッチが3月の長谷川穂積防衛戦に引き続いて神戸ワールド記念ホールで開催された。この短いスパンで、この交通の便の悪い大箱を使って連続興行が出来る真正ジムのプロモート力は絶賛に値しよう。今回も8〜9割方客席が埋まる大健闘で、この興行成績が続けば、長谷川の試合をわざわざ新幹線を使って観に行ったり、現場の空気を吸えない悔しさを噛み締めながらテレビ観戦する事も減ってくるのだろう。真正ジムと言えば、所属選手を興行部門の正社員として雇用するやり方で「選手がボクシングで飯を食える」状況を作っているという全国でも珍しいジムだが、頻繁に興行が打てて、かつ選手の勝率が高い理由はこれにあるのかも知れない。このやり方は一部プロレス団体でも既に軌道に乗っているビジネスモデルで、他のジムも研究の余地があるのではないだろうか。
さて、今回の主役は真正ジムのダブルエース・長谷川穂積高山勝成だ。まず長谷川はアメリカ合衆国の世界4位を迎えて9度目の防衛戦。苦手としているサウスポー相手の連戦を連続序盤KO勝利でクリアした日本の至宝が、ボクシングの本場から来た相手をどう仕留めるかが最大の焦点となる試合だ。上位ランカー相手の防衛線で敗北の予感が全くしないという“絶対王者”長谷川が減量苦を克服してどんなパフォーマンスを繰り広げてくれるか注目したい。ダブルメインの2試合目に登場する高山は、“軽量版バレロ”こと23勝20KO無敗のローマン・ゴンザレス[ニカラグア]の保持するWBA王座に挑戦する。言わずと知れた超強豪だが、陣営は以前から「ロマゴンには勝てる」と自信満々。今回のタイトルマッチも待望して実現させたものと聞く。スピードでパワーを12R36分間封殺することが出来るかがカギだ。
前座には、かつては中日本地区でも活動し、現在は真正ジムで稼働中の元OPBF東洋太平洋バンタム級王者マルコム・ツニャカオが登場。久々の関西での試合、どのようなパフォーマンスを見せてくれるか楽しみである。
なお、この日の筆者は公務多忙により19時前・第5試合後半の会場到着となってしまった。未見の試合の詳細なレポートはG+での放送終了後とさせて頂く事をご了承願いたい。


※駒木の手元の採点は「A」(10-9マスト)「B」(微差のRは10-10を積極的に採用)を併記します。「B」採点はラウンドマスト法の誤差を測るための試験的なものですので参考記録程度の認識でお願いします。公式ジャッジの基準は「A」と「B」の中間程度だとお考え下さい。なお、世界タイトルマッチに関しては、ベルト統括団体の内規に従い採点しています。