駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第5試合・バンタム級6回戦/○難波拓人[明石](判定3−0)竜野暁生[姫路木下]●

両者戦績は難波4勝(1KO)4敗1分、竜野4勝(1KO)8敗。難波は今年度のSフライ級西日本新人王に輝いたが、西部日本地区との対抗戦で無念のドロー敗者扱い。竜野は今年3月の敗戦以来8ヶ月ぶりのリングだが、04年に6回戦へ昇格してから泥沼の4連敗中。
1R。難波は手馴れたアウトボックスで泰然とした試合運び。竜野の圧力攻めを捌いてリング中央付近の位置をキープしつつ、牽制のジャブに交えた右アッパーでヒットを奪う。竜野は直線的な攻勢と細かいジャブでアグレッシブさをアピールしたが……?
2R。竜野が先手を打ってジャブ中心の手数攻勢。難波はこれを無難に捌くが、空転させるには至らず細かく被弾もして若干守勢の印象。打ち合いでは難波が僅かに優位に立つが、これも決定的なシーンには至らず。
3R。このラウンドは難波がやや積極的に打って出るが、竜野も怯まず手数で応戦。両者ヒットに恵まれず微妙な形勢が続いたが、ラウンド終盤になって難波の右アッパーが有効打となり、これがこの3分のハイライトシーンに。
4R。難波主導のペースが続くが、竜野も左ボディ中心に粘り強くヒット数で互角に渡り合う。しかし、途中で起こった打ち合いを難波が制すと、一気に攻勢へ出て竜野をロープへ詰めてラッシュ。しかし竜野はここを何とか凌いで、逆に攻め疲れした難波をアグレッシブに攻め立て、左ボディと細かいヒットをまとめて劣勢を挽回する。
5R。竜野が接近戦を挑む形で打撃戦。難波が精度と回転力で上回る分だけ優勢に立ったが、これにメゲず竜野がボディフックを連続して有効打すると、難波はあからさまに嫌がる素振りを見せて形勢逆転。だが難波もラウンド終了直前に連打を浴びせてタダではポイントを与えない。
6R。辰野が体を浴びせてボディ攻めも、ややメリハリに欠ける乱雑なパンチで決め手に欠けた。難波はリードジャブからダブルまである右のアッパーを駆使して確実にヒット数を重ねて優位に立った。
公式判定は宮崎59-56、野田58-56、原田58-57の3−0で難波。駒木の採点は「A」58-56「B」59-57でいずれも難波優勢。
難波は右アッパー、リードジャブで要所を押えて小差判定勝ち。しかし6回戦選手としてはスピード、パワーとも平凡で線が細い印象。この足りない部分をどこまで埋められるかが今後の再浮上へのカギとなるだろう。
竜野はこれで5連敗。手数攻勢とボディへの集中攻撃で勝利への執念は感じられたが、どうにも単調で精度に欠ける内容に終始した。戦術面などは未だ4回戦ボーイの延長上に甘んじており、なるほどこれでは6回戦で苦労するはずである。