駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第10試合・フライ級契約ウェイト(49.5kg)8回戦/○滝沢卓[タキザワ](判定3−0)赤木啓祐[倉敷守安]●

滝沢は11勝(3KO)1敗の戦績で、現在日本ミニマム級11位。04年にインターハイ4強の実績を作り、同年11月にプロデビュー。05年一杯までは4回戦で6連勝、06年には6回戦も連勝でクリアし、更にタイ人相手に8回戦でも勝利。都合9連勝を達成するが、ここまでは慎重に相手を選んで来た感もあり、06年12月に臨んだ10戦目では久田恭裕(横浜さくら)に敗れて挫折を経験する。今年4月に6回戦で再起した後、7月にもタイ人相手に1勝。空席があったミニマム級日本ランキングに滑り込んで、その後は上位選手の陥落に伴って1つランクを上げている。日本ランカーながら目立った実績を挙げていないだけに、今日は明確な白星で実力の確かさをアピールしたいところ。
対する赤木は6勝(3KO)3敗1分。03年にデビュー以来、新人王戦等のトーナメントには参加せず、ほぼ毎年2戦のペースでキャリアを積んでいる。A級昇格は06年4月と遅かったが、ここまでは6勝1敗1分の高勝率だった。だが、昨年10月の初8回戦では山脇正輝[大阪帝拳]に敗れ、今年6月には世界ランカー・国重隆[大阪帝拳]に挑んだが、こちらも判定で敗れている。今回はまたもランカー挑戦となる意欲的なマッチメイクとなったが……
1R。赤木はアグレッシブに前、前へ出てロープへ詰めて手数を出すが、滝沢は右アッパー→右フック、更には左カウンター、左アッパーと迎撃してグラつかせ、要所を締める。
2R。ラウンド序盤、滝沢がワン・ツーで綺麗なノックダウンで先制。ダメージの浅い赤木はこのラウンドも滝沢をロープ際に詰めていくが、手数がダメージブローに繋がらない。滝沢は守勢の時間が長いが、ダウンで奪った2点を守り切る。
3R。赤木はこのラウンドもアグレッシブ。近い距離から手数を浴びせるが、不完全なヒットの方が目立つ。ラウンド前半は圧され気味だった滝沢だが、右ストレート、左アッパーはコンパクトながらキレ抜群。
4R。赤木のしつこい攻めに滝沢は根負け気味か。右アッパーを返す場面もあるが、ボディへ渋太く手数を浴びせられ、左フックも貰ってしまった。
5R。滝沢は距離を開けようと意識して戦い、パンチを使って突き放しにかかる。左ジャブ、アッパーのキレがこのラウンドも良し。それでも赤木は渋太く密着しては抵抗をアピールするが、プッシングなど苦し紛れの振る舞いが目立ち逆効果か。
6R。赤木のフック中心の手数攻勢、これを迎撃する滝沢のアッパーかで見方の割れそうなラウンド。ヒットの明確さは滝沢だが、圧力と手数で攻める赤木の攻撃性も買える。
7R。中間距離での攻防。赤木が右ストレート決めれば、滝沢は左フック3連発で逆襲するなど一進一退。ほぼ互角の展開だが、滝沢が疲労の色をのぞかせ、これはジャッジの心証に影響したかも。
8R。赤木の突進を滝沢が迎撃しようとするが、赤木に絡みつかれて泥仕合。このラウンドも採点は難しいが、滝沢の的確なムーヴと体力切れで動き落ちた赤木は好対照に映った。
公式判定は石川79-73、福地78-74、登本77-75の3−0で滝沢。駒木の採点は「A」77-74「B」79-75で滝沢優勢。
滝沢が相手の果敢なアタックに手を焼きつつも、鋭い迎撃で要所を締めてランキング防衛に成功。いかにもミニマム〜Lフライ級という感じの選手。
赤木はアグレッシブに攻めたが、今日はやや強引過ぎた感も。手数よりヒット数にこだわるボクシングを覚えないと、ランカーと伍するのは難しい。