駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第4試合・Lフライ級8回戦/○山脇正輝[大阪帝拳](判定3−0)小山健太[とよはし櫻]●

山脇は8勝(0KO)2敗1分。04年にデビューし、この年を2戦2勝。05年の新人王戦ではLフライ級西日本新人王となる(西軍代表戦で敗退)。再起した06年6月の試合で勝ってA級昇格を果たすと、同年10月には初の8回戦でも勝利する。翌07年2月、堀川謙一[SFマキ]の日本ランクに挑戦して敗れたものの、4月には再起して連敗を許さなかった。今回はそれ以来10ヶ月ぶりの試合。
中日本地区から遠征の小山は5勝(0KO)4敗3分。シモーネ・マルドロットを髣髴とさせる左右兼備のスイッチヒッター。04年にデビューするが、こちらは2戦2敗。しかし未勝利の身でエントリーした05年度の新人王戦では中日本決勝まで進出。山脇を西軍代表で破った大橋卓矢[駿河]に敗退。06年の再挑戦でも中日本決勝でドロー敗者扱いとなり涙を呑んだ。しかし07年に6回戦で再起して連勝。ストレートでA級昇格を決め、今回が初の8回戦となる。
1R。山脇はいつも通りガードをガッチリ固めつつ、上下にワン・ツー、フックを上手く散らして、圧力もかけてリードを奪う。小山は目まぐるしく左右スイッチしながらワン・ツー中心。アッパーも交えつつ反撃するが、不発多くポイントを取りきれない。
2R。ラウンド中盤まではジャブ、ストレートに時折フック強振を交える淡々とした攻防。だが終盤に小山が手数を増やしたところで俄かにヒートアップ。ワン・ツーを連発で打ち込んでゆく小山だが、山脇は圧力をかけつつストレートを顔面に打ち抜く有効打で明確なポイントを作る。
3R。山脇が圧力をかけ、追い足を使いつつ打撃戦を仕掛ける。小山の連打を概ねブロックしては左ボディを絡めつつ顔面にストレート、フック。小山の攻め方はやや単調。山脇のガードを破るための工夫が欲しい。
4R。ここも山脇が終始圧力かけつつの打撃戦へ。小山もアッパー交えた反撃で粘るが、山脇が攻勢点と明確なヒット数で小差ながら明確な優位。
5R。クロスレンジ打撃戦。相変わらず山脇の攻勢が目立ち、左ボディも印象的。しかし小山も時折アッパーや連打を決めて食い下がる。小山は打ち合いで互角からやや優勢で、攻勢点の劣勢を差し引いてジャッジにどこまで評価されたか。
6R。このラウンドも同様の展開。小山の攻撃を最小限度のダメージで凌ぐ山脇が手数とヒット数でややリードか。しかし明確なヤマ場の無い、観客席にとっては辛い単調な時間が続く。
7R。両者やや積極的になり、また、守備への集中力が途切れがちとなってヒット数の多い激しい打撃戦へ突入。小山が先手でヒットを連発してこのラウンドは優勢か。山脇も圧力かけるが後手に回らされた感。
8R。このラウンドも激しい打撃戦。ミドルレンジで山脇が圧力かけつつ攻めるが、右の冴える小山も抵抗激しい。その中で山脇が印象的なヒットを積み重ねどうやら逃げ切り濃厚か。
公式判定は大黒79-74、野田78-74、原田78-75の3−0で山脇。駒木の採点は「A」79-73「B」79-75で山脇優勢。
山脇が同タイプでスイッチヒッターと言う相手に手こずりながらも、攻勢点でリードして小差優位のラウンドを重ねて判定勝ち。しかし8回戦ではもう少しメリハリのついた戦いで観客席を沸かせて欲しい。12戦9勝でKO勝利が無いのはなんとも寂しい。
小山は目まぐるしく左右の構えを変えるトリッキーなスタイルで幻惑しようとしたが、それが肝心のヒット数や主導権支配に繋がらず完敗。上下の打ち分けやガードの完成度もA級に入ると今一つの水準で、どうも器用貧乏の傾向がある。