駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第8試合・フェザー級10回戦/○上原誠[ハラダ](4R2分01秒KO)中谷年伸[八尾]●

メインはハラダジムのエース・上原が、95年度ジュニアバンタム級(!!)西日本新人王の中谷を相手に迎えた10ラウンズ。タイトルマッチの見通しが立たないままの調整戦が続く現状だが……
その上原は12勝(5KO)6敗3分の戦跡を残すサウスポー。デビューから丸9年、そして随分長い間日本フェザー級のランキング中位を保持しているベテラン選手で、現在のランキングは6位。昨年は7月にメキシコの世界ランカー・ガマリエル=ディアスを招聘してチャレンジマッチに挑んだが惨敗*1しており、ランキング上位進出を目指しつつも足踏みの現状である。
対する中谷は8勝(3KO)12敗3分の戦績。こちらは93年9月デビューというから、キャリア12年半となる。先述の通り、95年にジュニアバンタム級(現Sフライ級)で4人トーナメントながら西日本新人王となっており、まるで『はじめの一歩』の世界観から抜け出して来たような選手である。A級昇格後は随分と負けが込むようになって来たが、昨年5月の岡田竜郎[クラトキ]戦では02年3月以来という白星を挙げている。
1R。上原は暫しの様子見から自ら仕掛けて行って、ワン・ツーから左右のボディフックを連打で決めていって優勢。しかし終盤の打ち合いでカウンターを2〜3発貰って冷や汗モノの場面も。以前からの懸念である、速いパンチに対する反応の遅さがこの日も顔を覗かせる。
2R。中谷が先手で仕掛けて、ワン・ツー中心に手数を重ねる。これに対して上原は静かに様子見を続け、ラウンド終盤になって漸くコーナーに詰めて連打を放つなどして攻勢をアピール。
3R。このラウンドも中谷が先攻も、上原が早々に捕まえて左ストレートをクリーンヒットさせるなど優勢に持ち込む。中谷も粘り強く戦うが、ワン・ツー中心に鋭く攻める上原のペース。
4R。上原は相変わらずのスロースタートながら、やがて中谷をロープに詰めて連打をまとめて効かせてゆく。中谷、これを凌ごうとクリンチに行くが空振りし、キャンバスに手をついてしまってダウンの判定。この不運にもめげず中谷は懸命の抵抗を見せるが、上原は再びロープに詰めて猛攻を加え、レフェリーストップを勝ち獲った。
上原が格の差、決定力の差で完勝も、内容的には昨年来から頭打ちの印象で、KO勝ちを収めながらも前途に不安を感じさせる今年度緒戦となった。現状では日本王座どころか同級3位の粟生隆寛[帝拳]にも力負けしそうだ。
中谷は各ラウンドで粘り強い抵抗を見せたが、反転攻勢に出られてからは脆かった。要所要所で決手十分の攻撃を受けて、最後もキッチリと仕留められてしまった。

*1:記録上は超地元判定で0−2