駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第1部第6試合・Sライト級10回戦/○松本憲亮[ヨシヤマ](判定2−0)松信秀和[宮田]●

ダブルメイン2試合目は、ヨシヤマジムの中量級部門のエース・松本憲亮が登場。16勝(13KO)3敗2分と数字上の戦績は勇ましいが、噛ませタイ人に不覚のKO負けを喫したり、日本下位ランカークラスには地元判定に救われての辛勝を繰り返したりと、いつまで経っても頼りなさが抜けない現状である。気がつけば虎の子の日本ランキングからも陥落しており、今日は再浮上を賭けて何としても落とせない一戦となった。
対する松信は31勝(21KO)8敗2分と豊富なキャリアを誇るベテラン選手。97年のフェザー級日本新人王で、長らくランキングの上位を賑わせていたが、近況冴えず、OPBFと日本のランキングは共にSフェザー級10位にまで落ち込んでいる。彼にとっても今日の試合は進退を賭けた大事な一戦となるだろう。
1R。松本はジャブ起点に主導権窺うが、松信が左フックと右ストレートを飛び込みざま強引に浴びせて有効打で大差の形勢。松本もラウンド終盤の打ち合いを優勢とするが、明確なヒット数で及ばず。
2R。このラウンドも松信の左フック、右ストレートが要所で決まり、松本を後退させる。松本もこれを迎撃する形で上下に有効打を返すが、低いガードを突かれての被弾が目立ち、全体的な印象が悪い。
3R。松本がジャブ起点の連打でボディブロー中心に有効打を集めるが、松信も圧力かけつつ、やはり左フック、右ストレートで再三有効打してほぼ互角の形勢。
4R。松信がラウンド前半は圧力かけてのフック、ストレートで有効打連発。しかし松本がラウンド後半から突き放すような右ストレートから連打を決めて挽回した。
5R。松信はこのラウンドも圧力かけつつの強打。対する松本は足使いつつのジャブで応戦。それぞれ見せ場を作る一進一退の攻防戦だが、打ち合いで優位に立つ松信が構成点と主導権支配でやや優勢。
6R。松信はこのラウンドも圧力かけての攻撃で序盤から有効打を量産。松本は突き放し気味のジャブ、ストレートでヒットを返すが、松信はすかさず反撃して優位を譲らない。
7R。互いの距離が詰まって打撃戦中心。松信の重いフック、アッパーが印象的な有効打となる。松本もジャブから強打に持ってゆくが当たりが浅い印象で、ダメージ量で不利。
8R。重厚な打撃戦。松本にやや有利な距離だったが、松信は構わず打ち合いを制し、一方的展開に持ってゆきTKO寸前の場面にも。だがここから松本が驚異的な粘りで反撃し、逆に松信をクロッキーに追い込む逆転劇。
9R。やや疲れの見える松信に対し、まだ余裕のある松本は足を使って自分の距離をキープして有利な戦いを展開。松信も強引にフックを浴びせる場面があったが、このラウンドは採点4要素全てにおいて松本が優位。
10R。このラウンドも松本は自分の距離で戦う。強弱のメリハリあるコンビネーションでヒット数優位。松信も強打浴びせて印象的な場面作るが、ジェネラルシップを失って苦戦ムード漂う。
公式判定は上中97-94、宮崎96-94、北村96-96の2−0で松本。駒木の採点は「A」96-94「B」97-96で松信優勢。クロスゲームではあったが、やや地元判定気味。3点差で松本勝ちというのは流石に「?」である。松本は日本下位ランカー級と戦うといつも微妙な僅差勝利になってしまう。
松本が相手のプレスと強打攻めにピンチを迎えたが、終盤の粘りと地元判定のサポートにも助けられて小差判定勝ち。今日のようなスピードの無い相手にも主導権を失い、ガードの低さを突かれて相次いで強打を被弾するなど、勝ってなお懸念材料の方が多い内容に終始した。この勝利でライト級10位に登載されたが、この順位では12月に誕生する全日本新人王に押し出されてしまう。
松信は強打中心に見せ場を大いに作ったが、自分の距離を外されると脆い面もあり、スタミナも不足気味。結果論だが、8R前半にTKOを奪えるチャンスをモノに出来なかったのが痛恨だった。