駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第5試合・Sライト級10回戦/○西尾彰人[姫路木下](判定2−1)山本大五郎[金沢]●

西尾は10勝(6KO)3敗2分、サウスポー。日本Sライト級11位。02年デビュー。新人王戦では03年に1勝して西日本決勝へ進出するが赤澤慎司[神拳阪神]に敗れ、04年の再挑戦も1勝した後の準決勝で中島丈志[Gツダ]にドロー敗者扱い。しかし間もなく再起し、05年4月にB級緒戦で磯道鉄平[ウォズ・引退]に敗れて以後は無敗をキープしている。A級昇格後は西日本新人王の福原寛人[江見]、全日本新人王の大崎丈二[ウォズ]と2試合ずつ当たって3勝1分の成績。前回5月、2度目の福原戦は手を焼いてドローに終わるも、日本ランキングのキープに成功している。
山本は12勝(9KO)3敗3分の戦績で、日本Sライト級3位。大学生時代の99年に国体優勝、その他アマで豊富な実績を残して01年にB級デビュー。2戦目で日高和彦に、9戦目でレブ・サンティリャンに敗れたものの比較的順調なキャリアを積み重ね、ドローを挟みつつA級5連勝をマークして04年にはSウェルター級の日本ランカーに。しかし05年1月のダウティ・バハリ戦では分の悪いドロー、06年8月に金正範に挑んだOPBFタイトル戦では大健闘するも7RKO負けを喫し、あと一歩のところで成功の階段を昇りきれないでいる。今年4月、OPBF挑戦失敗後の再起に成功して以来半年振りの試合。
1R。距離開けての牽制から。互いに相手の強打をステップバックで捌いてゆく。山本がボディへ軽いヒットで小差リードを獲るが、西尾の手足の動きも軽快。ダメージブローは見られず、まずは五分のスタート。
2R。西尾ややアグレッシブに出て先手で手数。山本は無言の圧力をジリジリかけるが、コーナーへ詰めた所で軽打の被弾とスリップが同時に来たような不運なダウン。山本は挽回せんと尚も前へ出るも、西尾に上手く対応されて主導権すら握れず。
3R。ラウンド序盤は軽快なステップを使う西尾が先手。しかし山本が右ストレートで有効打奪ってから主導権が移動。それでも西尾は、一旦は山本の圧力に苦しむも、終盤には再びスピード活かした試合運びで主導権を奪還する。
4R。西尾は足使いつつのジャブで牽制するが非力。山本は右ストレート、左フックを有効打してリード。西尾もラウンド後半に入り左ストレートでヒットを連発して肉薄するが、パンチ力不足で印象弱い。
5R。フェイント、距離の探り合いで神経を使いつつ、ストレートでダメージを狙う展開。西尾が左ストレートを次々と有効打しリード。更には接近して連打からアッパーで追加弾、後手に回った山本は空振りばかり。
6R。このラウンドも西尾は足を使いつつ絶妙なワン・ツー、右フック。山本は圧力かけつつ右ストレートを狙うが、単発気味で数的劣勢。ラウンド後半に入ってヒット重ねてやや挽回したものの、西尾の連打も相変わらず見栄え。終了ゴング前には西尾は左ストレート→右アッパーで大きくグラつかせた。
7R。距離を開けて互いに互いのパンチを捌きあう、アグレッシブな中でディフェンシヴな展開。山本が圧力かけつつ迫るが、西尾も細かくて数を出して主導権をアピール。決め手無く互角のラウンド。
8R。このラウンドもストレート系パンチの狙い合い。山本がプレッシャーをかけて前半戦の主導権争いを制するが、西尾は手数を出し続けて抵抗しつつ機を窺い、終盤に右フック有効打で見せ場作りに成功した。
9R。ミドル〜ロングレンジの強打狙い。西尾がラウンド序盤に先制も、山本が中盤戦、立て続けに右ストレートをヒット。西尾も迎撃で巻き返しを図るが、互角までで精一杯。
10R。ラウンド前半、西尾の右アッパー、山本の右ストレートが共に綺麗にヒットするが、山本のパンチ力上位が映える。だが中盤に西尾が右のダブルやロープに押し込んでのワン・ツーで逆転。終盤にはラッシュで攻め立てる。山本も右を効かせるが、いかにも苦しい展開。
公式判定は原田97-93、宮崎96-93(以上、西尾支持)、大黒95-94(山本支持)のスプリット・デシジョンで西尾が格上ランカーを撃破。駒木の採点は「A」95-94「B」99-94で西尾優勢。接戦のラウンドも多く、採点の許容すべき誤差の範囲が広い試合だが、明確に取ったラウンド数と2Rのラッキーなダウンの分だけ西尾に分の良い内容。
西尾がスピード活かした試合運びで主導権支配を主張。要所要所で有効打を決めて点取り合戦に際どく勝利。これでランキング上位への進出が確定的に。
山本は圧力かけつつ強打で攻めていったが、手数不足とガードが甘くなる癖が災いして接戦を落としてしまった。