駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第8試合・フライ級8回戦/△本田猛[尼崎](判定1−1)デスペラード泰[Gツダ]△

セミファイナル8回戦は、尼崎ジムもう1人の次期エース候補・本田猛が登場。
本田は8勝(6KO)3敗2分の戦績で、04年度の西日本新人王戦フライ級の準優勝者。際どい判定で彼を破った久高寛之[Gツダ]は既に世界ランカーとなっており、本田も一刻も早くかつてのライバルに追いつけ追い越せと行きたいところだろう。昨年は4月に倉敷遠征で1敗したものの、その後は8月、12月と連勝してA級昇格を果たしている。
対するデスペラード泰は9勝(4KO)6敗3分。このリングネーム以外に本名の児玉泰幸でファイトしていた期間も長い。昨年は2月、9月と連敗を喫しており、04年5月以来勝ち星が無い。既に29歳、年齢的に余裕がなくなって来る時期だけに、ここをきっかけに再浮上を図りたいところだが。
1R。本田は左ジャブを当てつつ堅実なガード・ダッキングで被弾を避けるが、泰のアグレッシブな攻めに気圧されて手数では劣勢。しかしラウンド終盤には左右のフックで有効打を奪いジャッジ的には微妙なラウンドに。
2R。互いに互いの手数を捌き合いつつ、左を中心にヒットを交換する展開。淡々と時間が流れたが、ラウンド終盤に突然激しい打撃戦に転じ、これに泰が右ストレートで打ち勝ってノックダウン。しかし本田もカウント8で立ち、必死の抵抗で有効打を返す場面も。
3R。このラウンドも泰の右ストレートが有効に機能し、再度のクリーンヒットであわや2度目のノックダウンというシーンも。だが本田も左フック、右ストレートを決め手に互角の形勢に戻す。ラウンド終盤には、今度は2R前半までの冷静な戦い振りに戻り、動静が激しく巡る試合となった。
4R。お互いジャブで距離測りつつ、自分の得意な距離で打撃戦を仕掛ける……という流れが繰り返される。泰が右フックをクリーンヒットさせて先制も、本田は左カウンターと右ストレートを度々有効打として逆転に成功。
5R。本田がステップワークとディフェンスに重点を置く戦術に切り替え、鋭いジャブで連続ヒットを奪い優勢に。とはいえ泰も粘り強く接近を試み、終盤には本田を捕まえて左フック、ボディへの連打で反撃し少差に迫る。
6R。このラウンドも本田は足を使いつつのジャブ連打で主導権を握ろうとするが、やはりラウンド後半には泰が圧力をかけて強引に打撃戦へ引きずり込む。混沌とした情勢だが、最後に左ショートフックをクリーンヒットさせた泰に良い印象が残る。
7R。本田は足を使う作戦を徹底。左ジャブ、右ストレートを細かく的確に当ててゆき、終盤の打ち合いでもこのラウンドは互角以上で切り抜けた。泰も力感溢れる攻撃で激しく抵抗したが……
8R。最後の気力を振り絞ってアグレッシブに仕掛ける泰に対し、本田はやはり足を使いながらの左。泰の密着戦法にも右を突き放し気味に打ち込んでクリーンヒットを奪い、優勢を確保する。最後にはとうとう泰が根負けした感じ。
公式判定は76-75(本田支持)、76-75(デスペラード支持)、76-76の三者三様ドロー。駒木の採点は76-75で本田。
本田は序盤、ダウンを喫するなど大いに苦しめられたが、足を使いながらの左ジャブを効果的に活用してドローに持ち込んだ。当て勘の良さや体力面は8回戦でも大丈夫だが、6回戦時代までは有効に機能してきたディフェンスがここでは通用しなくなって来ている。接近戦や打撃戦などで相手の攻撃をどう捌くかが今後の課題。
泰はアグレッシブに戦って前半戦を優位に進めたが、結局最後まで主導権を確保し切れなかったのが響いた。この辺りが8回戦級で頭打ちになっている理由の1つなのだろう。